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第76回 廃熱を有効活用!「熱電発電」 ~の巻(2017年7月19日)

リミー、ずいぶん日焼けしたね。顔が真っ赤じゃないか。

海水浴に行ってきたの。肌が熱をもってヒリヒリ痛くて(涙)

かわいそうに……でも、その熱も「熱電発電」を使えば、エネルギーとして有効利用できるかもしれないよ。熱電発電は熱を電気に変換する技術なんだ。体温からだって電気が作れるんだよ。

熱を電気に?考えてみれば、火力や地熱も発電には熱を使うよね。

そうだね。でも、火力とか地熱は始めから発電を目的として熱を作る、もしくは取り出すだろ?熱電発電の発想はそこじゃないんだ。「廃熱」っていって、本来であれば空気中に放出されて、そのまま消えてしまう熱を回収して、電気に変換するんだよ。

うーん、イメージが湧かないなあ。

例えば温泉の配管を想像してみてよ。内側を温泉水が通るから、配管の外周部も熱くなる。でもこの熱は何もしないと、そのまま空気中に逃げて行く。こんな熱を廃熱っていうんだ。

日本の場合、石油や石炭といった一次エネルギーの約60%は、燃された後、熱として空気中に棄てられていると聞いたことがあるわ。これも廃熱?

その通り。もったいないだろ?熱電発電はこの廃熱を電気に変える技術なんだ。例えば、温泉配管の外側に専用の発電装置を取り付けると、装置の中で、廃熱が電気に変換されるんだ。

熱エネルギーの有効利用ね!パッと思いつく範囲ではゴミ焼却炉とか、自動車のマフラーなんかでも廃熱が発生しそうね。

するどい!リミーの体温だって熱源になるよ。実際、体温で動く腕時計も考案されてる。時計の中に発電装置が仕込んであるんだ。熱電発電は熱を直接電気に変換するから、火力発電みたいにタービンを使わない。つまり装置自体を小さくできる。

それにしても熱電発電なんて言葉初めて聞いたわ。

まだまだ開発途上の技術で、実用化例も多くないからね。発電コストも高いし、熱源はあくまで廃熱だから、作れる電気量も少ないんだ。電気への変換効率で言えば大体10%前後かな。

確か太陽光発電の変換効率は15~20%って言われてるよね。発電量が少ないっていうと、熱電発電で作った電気は何に使うの?

わずかな電気で動かせる装置の電源としてだね。工業用途ではセンサー電源として有望視されてる。身近なところではケータイとか、さっき言った腕時計とか。

腕時計か~……って、お兄ちゃん、もうこんな時間!学校に遅刻しゃうよ!

まだ話の途中なんだけど……。とにかく将来的に普及が期待される省エネ技術ということは覚えておいてね!ではまた、二週間後の水曜日に~。

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(文:西江 )
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