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第84回 電気抵抗ゼロで送電!超電導! ~の巻(2017年11月8日)

お兄ちゃん、すっかり秋めいてきたね。気温も冷え込んで、エアコンが恋しい季節になってきたわ

つけっぱなしはダメだよ。電気は無限にある訳じゃなんだから。そもそも電気は送電の途中でも、電線中の電気抵抗で一定量がなくなってしまうことを知っているかい

なくなっちゃう?どこに消えるのかしら

送電量全体の約5%が電気抵抗で熱になって、空気中に逃げてしまうんだ。その量は原子力発電所の発電量換算で5基分とも7基分とも言われているよ

そんなに!・・・ってことは、送電時の電気抵抗が抑えられれば、電気を効率よく使えるようになるわね

その通り。そこで注目されているのが、送電時の電気抵抗をゼロに抑える超電導という技術なんだ

超電導って、難しそうな響き・・・なんかビリビリしそう

超電導体っていう特殊な物質があって、この物質は冷却すると電気抵抗がゼロになる特性を持っているんだ。つまり超電導体で電線を作って、電線の冷却装置と一緒に運用すれば、送電時の電気抵抗が解消できる。冷却装置は2キロメートルごとに設置すれば大丈夫という実験結果もあるよ

超電導体は冷やして使ってってことね

冷却にはマイナス196℃の液体窒素を使う方法が現時点で有力だけど、液化天然ガス(LNG)を再ガス化する時、LNGが周囲の熱を奪い冷却する現象の冷熱を利用する方法も考案されているよ

冷却が必要となると技術・コスト的な課題もありそうだけど、普及状況はどうかしら

超電導自体はすでに実用化されているけど、送電向けという意味で言えば、本格普及はまだこれから。今は産学官で実用化に向けた研究開発や実証試験が行われているところだね

なるほど。今スマホで調べたけど新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によると、超電導を応用した製品の世界市場規模は2015年の時点で年間約7,000億円と言われてるみたい。送電用途での普及に弾みがつけば、規模は30年に約1兆円まで膨らむ可能性があるんだって

送電用途の本格普及は2020年代の前半から半ばごろが見込まれているようだね。もし実用化が進めば、既存電力の有効利用に留まらず、再生可能エネルギーのさらなる普及拡大にも一役買えるかもしれない

再生可能エネルギーは遠隔地で発電した電気の効率的な送電方法の確立が課題になっているもんね。超電導って、なんてしびれる技術なの!

ところでリミー、中央新幹線って知ってるかな?

東海旅客鉄道(JR東海)が27年に品川~名古屋間で開業予定のリニアモーターカーのことね

そうそう。中央新幹線の車体を浮かす磁石にも超電導体が使われる予定だよ。電気抵抗ゼロの特性を活かせば、強力な電磁石がつくれるんだ。開通したら一緒に乗って紅葉でも見に行かない?

絶対イヤ。お兄ちゃんと一緒なんて退屈で耐えられない

そこはしびれを切らさず耐えてくれても・・・

【お知らせ】
今回のやさしいエネルギー講座をもって、リムゾーとリミーは卒業いたします。次回からは新しいキャラクターが解説します。どうぞお楽しみに!
   
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電話 03-3552-2411
メール rimzo@rim-intelligence.co.jp

(文:西江 )
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送電時の電気抵抗をゼロに抑える技術は?

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