やさしいエネルギー講座
第89回 ~国際石油資本、メジャーズ ~の巻(2018年1月17日)
かめりん、ラウンドワンに行こうよ! 早く!早く!
へ? 一体どうしたの?
ボウリングだよ、ボウリング! すぐにボウリングをしないといけないんだよ!
いいけど、どうして急に?
お金儲けのためだよ、お金儲け!!
は?
油田を掘り当てて一気に大金持ちになろうと思ってるんだよ! それで、【初心者でもわかるはじめての油田発見】という本を買って読んだんだ。
一体、何だその本は? で?
その本によると、【油田開発には、最初にボウリングが必要だ】って書いてあったんだ。だから、まずはラウンドワンに行こう!
違う。それは、【ボウリング(bowling)】じゃなくて、【ボーリング(boring)】のことだ!地面に穴を開けること!
あ、そうだったんだ。
それから、もし万が一、うさりんが油田を発見しても、原油はうさりんのものにはならないんだ。天然資源の所有権は多くの場合、その国に帰属することになるから、油田は日本国のものになるんだ。このルールは国連が1963年に決定したことなんだよ。
なんだ…そうなのか…じゃあ、うちの庭から原油が出てきても、僕のものにはならないのか。残念。
てゆーか、庭から原油が出るわけないけど…。この国連での決定後に、中東などの産油国での油田の国有化が加速することになったんだ。
じゃあ、それまでは、油田って誰のものだったの?
それまでは、いくつかの巨大複合企業が世界のほとんどの油田を支配していたんだ。
あ、それ、聞いたことがある! たしか、たった7人の姉妹が石油市場を牛耳っていたんだよね!
それ、【セブンシスターズ】のことだよね。別に7人の女性ってわけじゃないんだ。7つの国際石油資本のことだよ。1970年代までは【エクソン】【モービル】【シェブロン】【テキサコ】【ガルフオイル】【ロイヤル・ダッチ・シェル】【BP】の7社の影響力が絶大だったんだ。当時は、この7社で世界の原油の石油埋蔵量の85%を支配していたんだ。
その【女性セブン】は今はどうなったの?
違う。【セブンシスターズ】だ。もう、ツッコむのが面倒くさくなってきたよ。1970年代には石油輸出国機構(OPEC)を中心とした産油国が油田の国有化を進めたため、セブンシスターズの影響力は弱まったんだ。1990年代の7社による生き残りをかけた合理化の結果、いまでは【エクソンモービル】【ロイヤル・ダッチ・シェル】【BP】の3社、あるいは【シェブロン】を加えた4社に統合されたんだ。これらは今、スーパーメジャーズと呼ばれているんだ。
じゃあ、メジャーズの支配力って、かなり弱くなったの?
1990年代にはね。ただ、最近はメジャーズの復権も目立っているよ。産油国には油田開発のノウハウがないから、どうしてもメジャーズの技術力や資本、販売力が必要なんだ。このため、産油国がメジャーズと協力体制をとって生産・販売しているケースが増えているんだ。この場合、メジャーは原油の所有権はないけど、開発や採掘を請け負う代わりに、代金を原油で受け取るんだ。
やっぱり、技術力が大事なんだね。じゃあ、油田開発の技術を身につけるために、まずはボウリングでスペアやストライクをとれるレベルにならないといけないなあ。
結局、分かっていないのか…。
参考文献、ウェブサイト 1.【絵でみる石油ビジネスのしくみ】 茂木源人、日本能率協会マネジメントセンター 2.【無関心ではすまされない石油 気になる大疑問】 社会情報リサーチ 3.Herold’s financial Dictionary-Terminology Plain and Simple Elplained 【お知らせ】 このコーナーに対するご意見、ご質問は、下記まで 電話 03-3552-2411 メール info@rim-intelligence.co.jp |
(文:橋本 )
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