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第92回 東京オリンピックの選手村跡地に環境先進都市が出現?! ~の巻(2018年2月28日)

平昌オリンピックも無事閉幕したね。次はいよいよ2020年の東京オリンピックだ。

本当に楽しみ!ところで、東京オリンピック・パラリンピックの終了後、中央区晴海に建設を予定している選手村の跡地に【環境先進都市】をつくるんだって。エネルギー業界は大会本番だけでなく、終了後の再開発にも熱い視線を注いでいるわ。

東京都が推進する【選手村地区エネルギー整備計画】のことだね。民間企業では東京ガス、JXTGエネルギーなどが参画している。

具体的に何をする計画なの?計画自体はニュースで見て知っているけど、中身までは不勉強で・・・。

選手村跡地を再開発して、エネルギー源に水素、排熱、太陽光発電を活用した街をつくるんだ。住宅だけじゃなく、学校や温浴施設などの商業施設も整備するんだって。予算は宅地造成や周辺道路整備費だけで540億円を見込んでいる。用地は18ヘクタールと、東京ドーム3.8個分の広さだね。

水素はどうやって供給するのかな。クリーンエネルギーとして注目されつつも、今は供給設備のコスト高が課題のひとつになっているよね。

造成区域内に水素ステーションを建設して、各建物には水素のパイプラインを接続するんだ。具体的な方策は示されていないけど、水素ステーションとパイプラインを同時整備することでコスト削減を図るみたい。

個別にそれぞれ整備するより、安く済むのかしら。供給網の充実に向けたモデルケースになるといいよね!

排熱は選手村に隣接するゴミ焼却場【中央清掃工場】が供給する。供給可能な排熱量は一時間あたり16.7ギガジュール(GJ)。電力換算で4,639kwhと4人家族の年間電力消費量に匹敵するんだ。

排熱を有効利用できれば二酸化炭素(CO2)の削減、エネルギー供給の安定化にもつながるよね。選手村は熱源が近くにあって、周辺環境に恵まれている。太陽光にも地の利はあるのかな。

もちろん。選手村は海沿いにあるから、太陽光を遮る遮蔽物が少ない。つまり太陽電池が力を発揮しやすい立地なんだ。

選手村地区エネルギー整備計画の環境に対する影響はどうだろう。

東京都の試算によると、再開発地区のCO2排出量は再開発が終了する2024年度に13年比で47%減少する。また石油、ガスなどの一次エネルギー使用量も同20%削減できるんだって。

すごい効果ね。でも一次エネルギーの利用を完全に止める訳ではないんだ。

一次エネルギーに水素、排熱、太陽光由来のエネルギーを組み合わせて、エネルギーの供給源を多様化させる考え方だね。さらに専用のシステムを導入してエネルギー効率を最適化し、省エネを徹底する。

東日本大震災以降、多様化と省エネがより求められているしね。東京オリンピック後のエネルギー事情はどうなっていくんだろう。大会本番と合わせて本当に楽しみ!

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(文:西江 )
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