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第94回 ~地上に太陽を!核融合発電って!? ~の巻(2018年3月28日)

うさりん、核融合発電で知っている?

もちろん知っているよ。 既存の原子力発電が、原子核が分裂する際に発生するエネルギーを利用するのに対して、軽い原子核が融合するときに生まれるエネルギーを利用して発電するのが核融合発電でしょ?

そのとおり。さすが、うさりん! 既存の原発は、重い原子であるウランやプルトニウムを核分裂させるんだけど、核融合発電は軽くて燃えやすい重水素や三重水素(トリチウム)の原子核を融合させる。その際、ヘリウムや中性子と一緒に、膨大なエネルギーが発生するんだ。

核融合は、太陽の中心で起きている反応と同じで、「地上に太陽を作る」研究として世界中が熱心に取り組んでいるよね。核融合発電が実現すれば、現在のエネルギー問題を一気に解決できることから、「夢のエネルギー」とも言われている。

そうなんだよ。 核融合発電の燃料となる重水素や三重水素の原料リチウムは、海中にたくさん存在するから、資源が枯渇する心配がない。そのうえ、少量の燃料から膨大なエネルギーを生み出せるからエネルギー効率がとてもいいんだ。

安全面でも注目されているよね。既存の原発が利用している核分裂のように、連鎖反応による暴走がないから、事故が起こりづらいみたいだね。燃料枯渇の心配がなく、安全で、温室効果ガスも排出しない。そのうえ、大量のエネルギーが生み出せるとなると、再生可能エネルギーと原発のいいトコどり!まさに、「夢のエネルギー」だ!

そうなんだけど、技術的にはまだまだ難しいみたい。核融合反応を起こすには、重水素、三重水素の原子核同士を毎秒1,000kmの速さで衝突させる必要があるんだけど、そのためには摂氏1億度以上の高温状態を作り出さなければならない。さらに、その状態を保ち、核融合反応を持続させるために、プラズマそのものを加熱し、1億度以上の温度を保っておく必要がある。それには、原子核を高い密度で長時間に渡って、一定の空間に閉じ込めておかなければならないんだけど、これがなかなか大変。

昨年、核融合の研究を進める核融合科学研究所(岐阜県土岐市)が、プラズマ温度を1億2,000万度、電子の密度を1 cm3あたり13兆個の状態を0.1秒以下作り出すことに成功したというニュースがあったね。

核融合発電の実現に向けた重要な第一歩だけど、まだまだ道半ば。実用化には、あと30年くらいかかると言われているんだ。

30年か…。かめりんはいいけど、僕はもうこの世にいないかもしれないな…。

【解説メモ】
 プラズマとは、温度の上昇とともに固体、液体、気体へ
と変化する物質の第4の状態のこと。その状態では、気体を
構成する分子が原子や電子に分離し、激しく運動している。

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(文:須藤 )
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核融合反応を持続させるのに必要な温度は摂氏何度以上?

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