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第95回 温室効果ガス削減でひと儲け!? ~の巻(2018年4月11日)

かめりん。J-クレジット制度って知っている?

知っているよ。省エネ機器の導入や森林管理などで、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスを削減したり、吸収したりすると、削減量や吸収量を国が「クレジット」として認証してくれるんだよね。

そうみたいだね。僕は最近知ったんだけど、どうしてこんな制度ができたのかな?

世界の課題である地球温暖化への対策として、国が温室効果ガスの排出量を減らそうとしているんだけど、民間企業に「減らしてください」ってお願いするだけだと、なかなか進まないでしょ?J-クレジット制度を設けることによって、企業が温室効果ガス削減に取り組みやすくしているんだよ。

どういうこと?

国から認証されたクレジットは、自由に販売することができるんだ。温室効果ガスの排出量を減らしたり、吸収したりすると、それが儲けにつながる仕組みなんだ。

なるほど。インセンティブを与えて、企業に地球温暖化への取組を促そうってわけだ。だけど、クレジットを買いたい人っているのかな?

それが結構いるんだよ。クレジットには、省エネ機器を導入して温室効果ガスを削減する「省エネ由来」、太陽光発電設備などを取り入れて削減する「再生可能エネルギー由来」、植林などを行って温室効果ガスを吸収する「森林由来」の3つの種類がある。ニーズはそれぞれ異なるんだけど、たとえば、再生可能エネルギー由来のクレジットは、新電力なんかが積極的に買い付けているようだよ。

どうして?

電力会社が販売する電気を生み出す際に排出されるCO2の、販売量に対する割合のことをCO2排出係数っていうんだけど、これが一定水準を超えていると、公共機関などが実施する電力の調達入札に参加できないなどの決まりがあるんだ。再生可能エネルギー由来のクレジットを買うことによって、CO2排出係数を減らすことができるんだよ。

なるほど。新電力にとっては、入札に参加できないと電力の販売先が確保できなくなるから死活問題だもんね。ほかのクレジットはどんなニーズがあるの?

森林由来クレジットなんかは、地方に工場を持つメーカーなんかが、工場が排出したCO2をオフセット(相殺)するため、買ったりするようだよ。地域環境の保護に貢献することで、企業イメージの向上を図ることができるんだ。

かめりんの話を聞いていると、需要は相当ありそうだね。

そうなんだ。クレジットの買い手が増えているのに対して、売り手があまり増えていないから、取引価格がどんどん上がっているんだ。今年の1月下旬にJ-クレジット制度事務局が実施した再生可能エネルギー由来クレジットの販売入札では、平均値1,716円/t-CO2(二酸化炭素1トンあたりの価格)で落札された。昨年4月の入札では、908円/t-CO2だった。これは再生可能エネルギー由来クレジットに限定されていなかったから単純比較はできないけど、クレジット全体の相場がかなり上がってきているのは間違いなさそうだよ。

CO2削減でクレジットをたくさん創出できれば、企業はひと儲けできるかもしれないね!

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(文:須藤 )
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