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第97回 東西の壁は厚い? ~の巻(2018年5月16日)

最近、電力自由化による大手電力会社の域外参入、といった言葉をよく耳にするよね?

確かに関東では、お隣の中部電力だけでなく、関西電力や中国電力が一般家庭用に電力を供給し、東京電力と凌ぎを削っているんだ。

関西地方や中国地方からってかなり離れてるよね~?電気ってどこにでも送れるのかなぁ~?

発電所で作られた電気は、電線を経由して私達のところまで送られてきているんだよ。これを送電線っていうの。送電線は発電所と変電所、変電所間の間を結んでネットワークになっているんだよ。変電所が電気の使用に応じて送電線を切り替えたり、電圧を変化させたりしているんだ。

へぇー大変な役目だね。すると、関東で停電が発生しても足りない分を関西から送ってもらえばいいから安心だね。

え~っと~うさりん~日本には50Hz地域と60Hz地域があることを知ってるよね?

もちろん。関東が50Hz、関西が60Hzだよね?

そうだね。長野県と静岡県に周波数変換機能を持つ特殊な変電設備が設置してあるから、東と西は相互に変換して融通しあってるんだよ。周波数というのは、交流電気が1秒間にプラスとマイナスを行き来する周期のことでしょう。50Hz(ヘルツ)では1秒間に50回、60Hz(ヘルツ)では1秒間に60回、プラスとマイナスが入れ替わることなの。

素晴らしい!~でもどうして東西で周波数が分かれているのかなぁ~?同じ国なのになんで違うの?

それは明治時代に、関東にはドイツの発電機を、関西にはアメリカの発電機を導入したためみたいだね。なんで別々の国から導入したか、明確な理由は分からないみたいだけど…

そうなんだ。ということは東日本大震災の時、関東の停電が長引いたのは周波数が異なる問題で、関西から関東に充分な電気を送れなかったんだよね?

うん。国内には周波数を変換できる大きな施設が3カ所あるんだ。Jパワー(電源開発)の佐久間周波数変換所(浜松市)、東京電力の新信濃変電所(長野県朝日村)、中部電力の東清水変電所(静岡市)。ただ送電能力にも限界があって3つの変電所の供給量は最大計100万キロワットなのに対し、東日本大震災の時は、被災した東京電力の管内で不足している1千万キロワットには遠く及ばなかったんだ。

安定供給面で問題があるのに、どうして周波数を統一しないの?

そりゃ、コストの問題が大きいんじゃないのかなぁ~。発電所の周辺機器のすべて取り替えないといけないから、費用と時間の面から難しいんじゃないかなぁ?でも安定供給確保の観点から、東西の周波数変換設備については、2020年度末までに現在の120万kWから210万kWに、2027年度末までには300万kWに増強を完了する計画があるみたいだね。

そうか!?コストの問題は大きいけど、東日本大震災みたいに大きい地震が起きたら、また大規模な停電を余儀なくされる可能もあるから有事に備えて国としても対策が必要だね。

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(文:林 )
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日本で使われている電気の周波数は2種類があります。それは明治時代に、関東にはドイツの発電機を、関西にはアメリカの発電機を導入したのが原因と言われています。さて、関東の周波数は何Hzでしょうか?

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