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第98回 ~油田火災では“地獄の戦士”が大活躍? ~の巻(2018年5月30日)

かめりん、ちょっと相談に乗ってほしいんだけど。

何? どうしたの?

将来、「地獄の戦士」になろうかと考えているんだ。

はぁ? 漫画の読みすぎ? それとも、変なものでも食べたの?

違うよ、油田火災の消防士になるかどうか悩んでいるんだよ!

ああ、それは「ヘルファイター(Hell Fighter)」のことね。通常の消防士では対応できないような油田専門の消火のスペシャリスト集団。まあ、確かに「Hell」の「Fighter」だから、「地獄の戦士」か。

そう、それそれ。大規模火災と戦う消防士って、かっこいいよね。

まあ、かっこいいと言えばかっこいいんだけど、とても危険なのよ。油田火災では、中心温度が摂氏3,000度、周辺でも200度を超えるから、100メートル以内に近づくことさえ難しいわ。

そうかあ。

場合によっては、大量のダイナマイトやニトログリセリンによる大爆発を起こして、消火することもあるそうよ。

え? ダイナマイトで消火するの?

そう。不思議に思うかもしれないけどね。これは、ダイナマイトによる爆発によって周辺の酸素を一気に消滅させることで、火を消すの。まあ、いわば、「火を窒息させる」ようなものね。

すごい!豪快だね!

そう。このヘルファイターが活躍した有名な例は、1991年の湾岸戦争時だね。イラク軍がクウェートからの撤退時に700カ所以上の油田、備蓄タンクや製油所に火を放ったんだけど、これを消火したのがヘルファイターなんだ。この消火活動に携わったポール・アデア氏は、「ヘルファイター」という映画のモデルともなっているの。

普通の消防士とは、どこが違うの?

主に専門知識などのノウハウだね。とくに、装備がすごいの。湾岸戦争時にハンガリーから来たヘルファイターが使った消防車「ビッグ・ウインド(Big Wind)」は、壮観だよ。旧ソ連の戦車「T-34」や「T-55」のボディーに、同じくソ連の冷戦時の主力戦闘機「ミグ21」の2機分のジェットエンジンを搭載して放水するの。その姿はダイナミックで、まるで映画のトランスフォーマーのキャラクターみたいよ。

でも、ヘルファイターがそれだけ危険な消火活動で、装備も特殊なら、雇うのもさぞかしお高いんじゃないですかぁ?

なんでそんな通販番組のフリみたいな聞き方を…? まあ、たしかに、専門性が高くて、命の危険もある仕事だから、報酬もすごいかもね。湾岸戦争時に、クウェート政府が民間のヘルファイター全体に払った金額は、約15億ドル(当時のレートで2,000億円)と言われているのよ。

おおおっ!俺はやっぱりヘルファイターになるぞ!

最終的に金で決めるのか…。

【参考文献】
「無関心ではすまされない石油 気になる大疑問」(社会情報リサーチ)
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(文:橋本 )
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