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第102回 ~電力自由化は成功?失敗? ~の巻(2018年7月25日)

電力の小売り完全自由化が始まってからもう2年以上が経つね。契約する電力会社を切り替え、毎月の電気料金が安くなったという家庭も増えているし、やっぱり自由化は良いことだったのね。

そう慌てるな。電力自由化について、料金の上下のみで論じる人がいるけれど、それはちょっと近視眼的すぎるっていう批判もあるんだ。海外では、電力自由化により、米国のテキサス州やカリフォルニア州、欧州でもイギリスやドイツで電力料金が値上がりした事例が報告されているよ。それに、米国では電力自由化後に、停電が多発したこともあるんだ。

え?本当?

イギリスでは、自由化当初は競争原理で電気料金の値下がりが進んだものの、その後、燃料となる天然ガス価格の高騰もあって、電気料金の上昇につながったんだ。

うわー!!

今回の僕はちょっと辛口だけど、もう少し話を続けるよ。専門家の中には、「企業の目的である利益追求と、安定的な電力供給システムの構築は二律背反である」と主張をする人もいる。安全保障やインフラ、人命に関わる分野は市場原理に委ねるべきではないという指摘もあるんだ。

必ずしも自由化によってすべてがうまくいくわけではないのね。

例えばタクシー業界の規制緩和。一度は規制緩和したものの、都市部を中心に利用者の割に供給台数が多く、タクシー会社の売上が減ってしまったんだ。結局、政府が再び規制を設ける事態になったね。

さて、電力自由化によって、日本の電力業界は一体どうなることやら。

もちろん、大手電力会社が総括原価方式で電気料金を決める方法に賛否はあるし、電力業界についていろいろと考える時期を迎えている。発電コストがどのくらいかかるのか、われわれ消費者にはわかりづらいしね。自由化については、日本は送配電部門に規制を残すなど、海外の失敗事例を「反面教師」として、独自の体制を模索している面もあるんだ。長い目で見てどの電力会社を選ぶのが正しいのか、消費者自身もしっかりと見極める必要がありそうだね。

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(文:小屋敷 )
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