第103回 ~地中熱 ~の巻(2018年8月8日)
今年は梅雨明けが早かったね。連日の猛暑でもうくたくた。地球から逃げ出したいよ!
うさりん、宇宙へ行くより地下の方か涼しいと思うわ。
地下ってとういうこと?
地下10~20メートルの温度は、年間を通して大きな変化がないのよ。つまり夏場は地表の気温より地下の温度が低く、冬場は逆に地下の方が暖かい。この温度差を利用すれば、電気を使わずに冷暖房に活用することができるのよ。
究極のエネルギーじゃないか!
そうなのよ。これは「地中熱」と言うの。地中のエネルギーは気候や地形に左右されることはないし、化石燃料ではないから、脱炭素社会にもぴったりね。
ところで、「地中熱」っていうのは、「地熱」とは違うのかな?
「地熱」は、火山に近い場所で高温のエネルギーを発電などに利用するものね。「地中熱」はそれと違って、どこでも利用することが可能ね。
その「地中熱」、どうやって利用するのかな?
主に5つ利用方法があるよ。 ① 熱伝導式: 土間床を介して地中から伝わる熱で部屋を暖める。主に住宅の保温用。 ② 空気循環式: 地下に埋設したパイプラインを通じ地下で冷熱を交換。主に住宅の換気と保温用。 ③ 水循環式: 地表と地下をパイプで結ぶ水循環システム。主に道路の融雪用。 ④ ヒートパイプ式: 冷媒の蒸発と凝縮で熱を運ぶシステム。主に路面の融雪、凍結防止用。 ⑤ ヒートポンプ式: 揚水した地下水の熱を地表にあるヒートポンプで取り出す方式。主に住宅やビル、農業のグリーンハウスなど。
いろんな利用法があるんだね。
冷暖房のように室外機がなく、騒音の心配もないし、電気代もかからない。二酸化炭素の排出がないので環境にやさしい。
いいこと尽くめだな。でも、課題や問題点はないの?
問題はやはりコストかしら。設備導入の初期費用がかさみ、費用の回収期間が長くなるわ。もちろん、一回導入すれば半永久的に使えるから元は取れそうよ。
なるほど。
欧米ではすでに1980年代から普及し始め、国によっては家庭用ヒートポンプシステムが100万台も稼働しているわ。日本では2010年まであまり知られていなかったけれど、2011年から経済産業省の補助金対象になって、ようやく全国に普及しつつあるわ。環境省2016年度の調査によると、15年度末で利用施設は約6,800件にのぼっているそうよ。
たくさんところで造られたね。
一番普及してるのは千葉県で644件。北海道の640件、山形県の612件と続くわ。今度うちの小屋にも導入してみましょうよ。
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(文:方 友明 )
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