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第107回 ~○は地球を救う? ~の巻(2018年10月3日)

今年はめっきりストローに対する風当たりが強いね。

確かに、うみがめの鼻につまったストローとか衝撃的な映像もあって、海洋汚染の象徴みたいになっているよね。

ポイ捨てしちゃうのは論外だけど、「レジ袋やストロー、プラスチックカップぐらい風に飛ばされてもいいか」っていう油断が、プラスチックによる環境汚染につながっているよね。ちゃんと回収していても、ごみ袋やネットから破れて脱落することも多いのがストロー。使い捨ての製品でもあるので、象徴的に扱われているよね。

ポイ捨てといえば、ストローもそうだけど、さらに許しがたいものがあるわけですが。

ほうほう。それは?

たばこのポイ捨て。

たばこは確かにニコチンとかが溶け出して環境に悪そうだけど。でも、たいてい葉っぱと紙ぐらいだから、分解はされそうだよね?

それだけじゃないの。紙巻きたばこのフィルターが問題なんだよね。

ほうほう。

たばこのフィルターは木材パルプと酢酸を反応させたアセチルセルロースから作られるの。半合成繊維といわれたりするんだけど、簡単に分解されないから、海洋汚染の原因のひとつとしてプラスチックと並び称されているわ。

半分は自然由来といっても、自然界では分解されづらいんだね。たまに、道路わきの側溝に「落としている」ひとを見かけるけど、目の前から見えなくなっているだけで、あれもポイ捨てだよね。聞いていると分解がカギなようだけど、最近話題の生分解性プラスチックなんかはどうだろう?

生分解性プラスチックは土中に埋めれば微生物の力で分解されるけど、通常のプラスチックに混合されている場合は、微細なマイクロプラスチックが発生するの。それに海中に出た場合、分解に微生物が必要であれば、分解されたとしても想定以上の時間がかかることになるわね。だから、生分解性プラスチックがすぐにこうした問題の解決手段になるわけでもないの。

前に紙製ストロー導入のニュースをみたよ。自然界に廃棄され、分解されるかもしれないけど、紙粉が体内に取り込まれる可能性も問題だと指摘されていたね。そもそも、内側にプラスチックでコーティングされていたりする。何か一つの対策をもって問題を解決するのは難しいということだ。

そうそう。これだけ環境に対する負担に注目が集まるのは悪いことじゃないよ。どこかの都知事も乗っかってくるぐらいだから。ただ、ストローだけに関心が集まり過ぎれば、問題の誤認が起こったりするということだね。

というよりも、そもそもポイ捨てするひとが問題だね。

ポイ捨てするひとに環境に関するニュースを見てもらい、もっと関心を持ってほしいわね。

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(文:北村 )
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