第110回 ~フタイシキが日本を救う? ~の巻(2018年11月14日)
うさりんは海に風力発電の風車が立っているのを見たことない?
あるある!風車って大きくて迫力があるから、ついつい見ちゃうんだ。島国の日本は、海風のおかげで風力発電に向いていると聞いたことがあるよ。
うん。海風は安定して吹くからね。ところで、あの風車はどうやって立っていると思う?
え、海底に柱を立てているんじゃないの?
うさりんが惚れ惚れして見ていたのはたぶんそうね。海底に固定する風車は着床式というんだ。でも、水深が深いところだと海底に建てるのにコストがかかるから、沿岸部に水深が深いところが多い日本では場所が限られてしまうんだ。
え!?そうなんだ。第5次エネルギー基本計画では、再生可能エネルギーを主力電源化するとて言っているよね。それなのに風力発電を建てる場所が限られて大丈夫なの?
大丈夫。いま日本での設置に向いているといわれる、浮体式洋上風力発電の開発が進んでいるの。
フタイシキ?
そう、浮体式。海底に固定しないで、海の上に浮かべた基礎に風車を建てるんだ。
そんなことできるの?だって、波や強い風を受けるわけだから、海底に立ってないと倒れちゃいそうだよ。
それを防ぐために、浮体式には大きく2つのやり方があるんだ。ひとつは基礎を縦長にして、重心を低くして揺れに強くするタイプ。水深100m以上の深いところに向いているの。もうひとつは、水平に広い基礎の上に風車を建て、水平の揺れに強くするタイプ。水深50~100mくらいのところに向いているわ。
場所に合わせて設置するんだね。フタイシキはもう実用化されているの?
海外では2009年にノルウェー沖で初めて運転が始まったの。日本でも2013年から環境省が長崎で試験運転を開始して、2016年からは五島市と戸田建設が商用運転を始めたんだ。ほかにも経済産業省と丸紅が福島でも3機の運転をしているし、2018年には北九州市でNEDOや日立造船、丸紅などが共同で、新型浮体式洋上風力発電の試験運転を始めたんだ。
どんどん取り組みが進んでいるんだね。これが実用化されれば、風力発電ができる範囲が広がりそうだ。
そうなの。日本で洋上風力発電が可能とされる水域のうち、浮体式が適した水域は着床式の約5倍と言われているの。2つのタイプの浮体式を組み合わせて設置すれば、いままでよりずっと安定して大量の電力を供給できるようになるかもね。
再エネが主力電源になる未来がぐっと現実的に思えてきたよ。都心の電力もこれで賄えるのかな?
いまは浮体式の試験運転は九州で盛んだけど、開発や低コスト化が進めば、電力需要が大きい地域の海域に設置して、都市部への安定供給も期待できると言われているんだ。
そうなんだ!いつか東京湾に風車がニョキニョキ生えるのかな!わくわくするね!!
なんだか目が回りそうね…そんなに風車が好きならオランダに行けば?
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(文:犬塚 )
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