第112回 ~暖冬の灯油マーケットで何が? ~の巻(2018年12月12日)
11月もそうだったけど、日本は12月もなんだか暖かいわね。
だんだん寒くなってきたとはいえ、平年からみると、全国的にかなり暖かいんだって。北海道の降雪は記録的な遅さだったみたいだよ。
そうなると、国内の暖房用灯油の販売が相当落ちているんじゃないかしら。
実際そうなんだ。昨シーズンは厳冬だったこともあり、足りなくなるくらい冬場の灯油需要が盛り上がったけど、今シーズンはひどい状態みたい。11月の灯油の販売量は前年対比で6割程度だったという話も聞くよ。
そういえば、11月はうちでも灯油ストーブを一度も使わなかったわ。例年はぼちぼち使い始めるころなのに。
困るのは元売りだよ。北海道など寒冷地では、冬場の生活必需品の灯油を切らしたら大変だから、海外から輸入したりしてタンクに在庫を積み上げて、供給体制を確保するんだ。だけど在庫がなくならないので、タンクに入れられない事態に陥ったみたい。灯油を積んだ船が北海道沖で待機せざるを得なかったようだよ。
本当ね!石油連盟が毎週発表している在庫統計をみているんだけど、11月24日時点の全国の在庫は前年から14%程度高いわ!でも余った在庫はどうするのかしら。
国内で販売するのが基本になると思うけど、12月も気温は平年より高い予報が出ている。とすると、国内ではなかなか売りづらい。だから、航空機の燃料として海外に輸出したりしている話も聞くよ。
へぇ!灯油って飛行機の燃料に使えるのね!知らなかったわ!
ただ、それもたくさん売れるわけではないし、価格が必ずしも魅力的ではないこともあるみたい。灯油の生産自体を減らしていくことが必要になってくるかもしれないね。灯油を作る量を調整して、在庫が溜まらないようにするんだ。
燃料商社の人たちはどうしているのかしら。
燃料商社にとって冬場は灯油の販売で儲けるチャンスだけど、今年は当てが外れて困っている人もいるみたいだね。寒くなって需要が盛り上がると、灯油の在庫が足りなくなった元売りが燃料商社に声をかけて、灯油を分けてもらうことがあるんだ。これが結構いい値段で売れるから、早めにタンクに在庫を仕込んでおいて、元売りへの販売を狙う燃料商社もいるんだよ。昨年は寒かったからそれで儲けた燃料商社もいたみたい。だけど、今年はどうかな?
当たればいいけど、当たらないと大変ね。
冬場の灯油は気温によって、急に売れたり、売れなかったりする。気温の変化なんてなかなか予想し切れない部分も大きいから、状況に応じて作ったり、買ったり、売ったりと灯油マーケットの関係者は大変なんだよ。
私みたいなおっとり系女子にはとても務まらなそう。暖かい日でも無理して灯油を焚くことでしか貢献できないわ。
それはちょっと違うんじゃないか…
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(文:須藤 )
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