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第117回 ~太陽光発電は中古で儲かる!? ~の巻(2019年3月6日)

以前話したように、太陽光発電は供給過多で、やっぱりビジネスとしてはもう厳しいのかなぁ。

そんなこともないよ。今、太陽光発電は「中古」市場が伸びているの。2020年度には、16年度に比べて4倍の800MW(メガワット)規模まで中古市場が拡大するとの予測もあるわ。

中古かぁ。僕は新品が好きだなぁ。

日本人はそういう感覚の人が多いわね。でもそれは、ビジネスセンスがないとも言えるかも。欧米では・・・

出た、欧米か!ところで、なぜ中古市場が伸びているんだい?

一つには、太陽光発電設備を新設するための適地が減少していることがあるわね。そして、低炭素エネルギーへの燃料転換を進めるエネルギー会社が増えていることも挙げられるわ。

なるほど。

じゃあ、なぜ「中古」が良いのか、そのメリットをうさりんに教えてあげる。

ありがとう・・・

主なメリットは、次の通りね。①価値がちゃんとある②一から太陽光発電設備に投資するよりも安い価格で投資が可能③すぐに始められる④発電実績を見られて収益予想がしやすい⑤高い価格で売電できる。

価値がちゃんとあるってどういうこと?

転売市場で売られている「中古」にはちゃんとした理由があるわ。主に、節税目的で購入した法人が、必要のなくなった太陽光発電設備を売却処分する場合が多いのよ。

そうした法人は、実際には太陽光発電をしようとしていなかったというわけか。

当然、新設には設備工事や連係工事などの費用や時間がかかるわ。銀行から資金を借り入れた場合には、設備を設置している期間中も金利が発生するでしょ。中古を購入すれば、その日数分の金利や稼働までの時間も短縮して、すぐに発電が始められるわね。

そこまでは考えたことなかったな・・・

まだあるわ。中古は過去の発電実績も見られるから、今後の収益予想を立てやすく、投資費用回収期間を算定しやすいわ。

かめりん、まぶしいーっ!!

さらには、改正FIT法による「みなし認定」が適用されるから、売電にも有利なのよ。

も、もちろん、改正FIT法は、し、知ってるよ。

そう、2017(平成29)年度に施行開始された、改正固定価格買取制度のことね。ご存知の通り、太陽光発電は固定価格買取制度によって国が売電価格を決定していて、太陽光発電設備は設置・稼働年に基づいて売電価格が適用され、その後20年間(家庭用は10年間)はその価格で電力が買取りされる。太陽光発電の買取り価格は毎年下がっていて、10kW以上の事業用は、制度が始まった2012年から半分以下になっているの。中古は過去に設定された高い売電価格によって売電できる、「みなし認定」の可能性があるのよ。

良いことずくめじゃないか。

もちろん、デメリットもあるわ。まず、設備の劣化ね。中古だから当然、太陽光パネルの劣化や設備の汚れ、漏水など、物件毎に状態のばらつきはあるわ。ただ、第三者の業者に点検やメンテナンスサービスを依頼することもできるし、今は発電量を保証する保険なんかも登場しているわ。

色々なビジネスがあるんだなぁ。

あとは、買い取り期間の短さね。買取期間が20年以下に減っているから、中古は設置してから現在までの年数分を除いた年数が、買取期間として適用されるのよ。これは仕方ないことね。その辺りは、自分で損益計算をしてちょうだい。

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(文:横井 )
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