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第118回 ~寒さに強い電池を! ~の巻(2019年3月20日)

かめりん、ずいぶん春らしくなってきたよね!

そうね、日が昇るのも早くなったし、暖かくなってきたね!

よかったー。僕のスマホは古くて、寒いところで操作していると、ときどき電源が落ちちゃうんだ。

バッテリーの問題ね。そういえば、スマホと同じでEVも寒さに弱いという話よ。

EVって電気自動車(Electric Vehicle)のことだよね。最近、イギリスの会社が生産を本格化させるってニュースを見たよ。

その通り。EVは自動運転と並ぶ自動車産業にとって大きなトピックね。EVもうさりんのスマホも、バッテリーは同じリチウムイオン電池なの。この電池は寒さに弱くて、気温が氷点下に下がると効率が下がってしまうんだ。

効率が下がるって、具体的には何が起きるの?

バッテリー内部で起きる化学反応のスピードが落ちて、最適な環境に比べて放電した時に得られる電力が少なくなってしまうの。さらに充電もうまくいかなくなるんだって。

ふーん。じゃ、リチウムイオン電池にとって最適な環境はどのくらいなんだい?

気温が16~27度と言われているわ。

僕もそれくらいの気温が過ごしやすいな。でも寒い環境でつらいのは、普通の自動車も同じじゃない? 寒い日にクルマに乗ると、最初は暖房をつけても冷たい風が出てくるもん。

そうね、でも普通の自動車は、内燃機関で熱を発生させることによって、冷えてしまったガソリンやエンジンを温めることができるの。暖房の風もエンジンの廃熱を利用したもので、効率的に熱を使っているのよ。だけどEVは、寒さのせいでバッテリーの効率が下がるだけじゃなく、余計に電力を消費するのよ。動力源としてはもちろん、暖房は電気ヒーターになるし、エンジンを温めるのにも電力が必要でしょ。そのすべてに走行用のバッテリーが使われるから、結果的に走行距離が短くなってしまうのね。

走行距離が短くなっちゃうのは問題だね。じゃあEVは暖かい国でしか使えないってこと?

そんなことはないわ。ただ現時点では起動時にバッテリーとエンジンを温められるだけの電力を常に残しておくようにするとか、工夫が必要みたい。それに技術開発も進んでいるの。氷点下でも効率が下がらない電池の開発が進んでいるし、コンピューター制御で最適な電力使用ができるようにする研究が進んでいるわ。

なるほど。電気自動車がもっと普及するには、一段の技術開発が必要なのね。その技術がスマホにも使われれば、雪の中でも動画が見放題だ!

…動画は部屋の中で見ない?

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(文:犬塚 )
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