記者の眼記者の眼

第200回 (2023年6月21日)

 環境問題への対策や温室効果ガスの削減を目的として、プラスチックの使用量を減らす取り組みが進められている。消費者レベルで見て取れる取り組みとしては、小売店でのレジ袋有料化やファストフード店での紙ストローの提供などが挙げられるだろう。ただ、プラスチックを含む石油化学製品の需要が落ち込むなか、果たして今プラスチックの使用量を減らすことが得策なのかと疑問に感じることがある。

 

 プラスチックは化石燃料を原料としており、製造工程や廃棄の際にも温室効果ガスが発生する。温室効果ガス削減の観点からは、使用量の減少を目指すのは当然のことだと思う。

 

 ただ、現状では石油化学製品の需要は鈍い。アジアでいえば、主要市場である中国で新型コロナ対策のため導入された厳格なロックダウンの影響で需要が落ち込み、ロックダウンが解除された後も事前に期待されたほど需要は回復していない。需要回復は当面期待できないとの声も多い。

 

 石油化学製品の主要な原料となるのは、石油精製の過程で得られるナフサだ。石油精製を行う限りナフサも生産され続けるが、現状では石油化学製品の需要低迷によりナフサの消費量も減少しており、需給バランスは重いようだ。ナフサを余らせていても仕様がないが、石油化学メーカーの対応としては何が正解なのだろうか。ナフサと石油化学製品の需要や価格について、漠然とした不安を感じながら取材をしている。

 

(田鎖)

 

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