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第63回 ~電気供給不足に高額のペナルティ?!の巻 (2014年5月22日)

最近、オフィスの冷房が効きすぎてブルブル震えちゃうことがあるんだよね

暑さの感じ方って人によって違うから、温度調節は難しいのよね。ところで、お兄ちゃんの会社って、どこの電力会社から電気を買っているの?

え?!電気って、地域にある大きな電力会社からしか買えないんじゃないの?

お兄ちゃん、もう忘れちゃったの?以前(第12回や第34回)、日本卸電力取引所(JEPX)とか、新電力とかについて勉強したじゃない!

第12回 ~電力自由化は実現可能?の巻

第34回 電気の取引?~電力市場が自由化されたら~の巻

えっと、、ちょっと待って。簡単に復習するぞ。どれどれ、「新電力は特定規模電気事業者のことで、契約電力が50万キロワット以上の需要家に対して、一般電気事業者(大手電力会社)が持っている電線を通して電力供給をしている会社・・・」。あー、思い出してきた。

新電力から電気を買う企業や自治体が増えているのね。それに、いまは一般家庭では新電力から電気を買うことはできないけれど、2016年には全面自由化になる見通しで、私たちの家でも新電力と契約する日が来るかもしれないわ。

でも、ちょっと待てよ。新電力っていうのは、大手電力会社に比べて規模が小さいよね。たくさんの企業と契約を結ぶと、電気を供給しきれなくなっちゃうことはないの?規模の大小にかかわらず、電力会社には供給義務があるから、「電気が売り切れちゃったから、今日はもう売れません!」っていうわけにはいかないでしょ。

まず、電気が足りなくなりそうなときは、さっき話しに出たJEPXから調達したりするの。JEPXは取引所だから、そのときどきの市場価格で電気を購入することになるわね。それでも足りなくなったら、新電力は大手電力会社に個別にお願いをして、高い料金を支払って購入することになるの。これはペナルティ料金と言えそうね。この料金のことを、正確には「変動範囲内(外)発電料金(通称インバランス料金)」っていうのよ

僕の頭では覚えられない難しい言葉だな。。。でも、一体、どのくらい支払うんだい?

大手電力会社ごとに異なっているし、季節や時間帯によっても違うの。まず、需要量に対して3%以内の不足であれば、「変動範囲内」として比較的料金は安くなっているわ。最大手である東京電力の場合、インバランス料金は1キロワット時あたり15.44円よ。

でも、それが3%を超えるとぐっと高くなるってことでしょう?だいたい2倍くらい?

とんでもない!不足量が3%を超えると、「変動範囲外」って言われちゃうのよ。つまり、「そんなに供給が不足したんだから、たくさんペナルティを払ってもらいますよ」っていうこと。これも東京電力を例にとると、夏季の昼間の時間帯(7月1日~9月30日の午前8時~午後10時)のインバランス料金は1キロワット時あたり53.21円に跳ね上がるのよ。夏場の昼間は電力需要が増えるから、それだけインバランス料金が高くなっているのね。

えー、一気に3.5倍にもなるんだ!新電力にとっては、できればそんなに高いペナルティを払いたくないよね。

新電力に対しても、「電気の安定供給に責任を持ってください」-と意識してもらうには、高いペナルティが必要と言えるかもしれないわね。

電力の全面自由化は利用者にとってはありがたいことだけれど、その陰には電力業界の厳しいルールがあるんだね。

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供給する電力が不足した際、新電力が大手電力会社に依頼し、電気を購入するときの料金を何という?

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