LNG=4月15~19日:中東情勢の緊張で上昇
DES北東アジア相場は先週、期近着が一時11.20~11.50ドルと、期近着としては1月5日以来の高値を付けた。中東情勢の緊迫化に伴い、カタールやアラブ首長国連邦(UAE)産LNGの供給不安が強まっていることを受けた。 イラン中部のイスファハンで19日、爆発が起きた。イスラエルがイランに対してミサイル攻撃を行ったとの情報が聞かれる一方、イラン側は防空システムの作動によるものとしてこれを否定しており、情報は錯そうしている。これを受けて原油相場は一時3ドル以上急騰するなど、エネルギー市場にも大きな影響を及ぼしているが、LNG市場については、「価格や需給に対する影響は避けられないが、どの程度となるかは蘭天然ガス(TTF)市況の推移次第」(ブローカー)と伝えられている。また日本企業は、「イラン革命防衛隊の被害があるかどうかなど、現時点では全容が見えていない。今は条件反射的に懸念が先行し過ぎているきらいがあるため、状況が明らかとなってくれば、市場は落ち着いてくるだろう」との見方を寄せた 加えて米フリーポートプロジェクト(年産1,500万トン)の生産障害によって欧州でも需給引き締まり懸念が根強く、世界の広い地域で強気の市場心理が形成されている。 相場上昇を受け、中国プレーヤーが転売を検討している。スイスの金融機関UBSが2024年における中国のGDP成長見通しを、従来の4.6%から4.9%に上方修正したが、中国の工業用のガス需要が強まる様子はない。中国は国産ガスや中央アジアやロシアから輸入したパイプラインガスの使用を優先しており、LNGに供給過剰感を抱いている可能性がある。
【FOB中東・DES中東・DES南アジア】 エジプト国営ガス会社(EGAS)がTFDE型「Hoegh Galleon」(容量17万立方メートル)号を浮体式貯蔵再ガス化装置(FSRU)として利用するために傭船したという。同船は米エクソンモービルが3月に10日間の短期契約で借り入れたほか、豪スカドロンエナジーが豪州東海岸で建設中のポートケンブラ基地にも、将来的に配置される見通しだ。ポートケンブラ基地の操業開始は2025年冬以降の予定。
【FOB大西洋圏・DES欧州・その他地域】 銅産業が主力のチリでは、銅価格の上昇に伴い、ガスの需要が拡大する可能性がある。銅の国際相場は4月に入り、1トンあたり9,500ドル前後と2022年6月以来の高値圏で推移している。チリのキンテロ基地(同375万トン)やメヒョーリネス基地(年間受入能力150万トン)はもともと、地元の銅鉱山や精錬所向けに電力やガス供給を担う目的で設立された経緯がある。米フリーポートプロジェクト(年産1,500万トン)に関しては、テキサス州の環境規制局が15万2,173ドルの罰金を科したと発表した。2019~2021年にかけて大気汚染に関する排出規制に違反したため。
|
|