電力=3月31日~4月1日:電力スポットは前週比で急反発、火力停止や寒の戻りで
3月31日~4月1日受け渡しの電力スポット価格24時間の週間平均は、東日本(50Hz)および西日本(60Hz)ともに前週から急反発。4月1日から定期点検などで停止する火力発電が増え、予備力の低下が強材料となった。さらに東日本では、関東で最高気温が10度前後にとどまるなど「寒の戻り」から暖房需要が強まったほか、天気も曇天の日が多くなり太陽光発電が限定的となった。このため、需給引き締まりが顕著となり、西日本に比べて価格の上げ幅が大きくなった。 四国では、愛媛県今治市と岡山市で発生した山火事の影響により、3月23日夜から本四連系線の運用を停止したが、山火事が納まったことで4月1日から運用を再開。このため、四国から本州向きの電気が流れるようになり、四国エリアの電力スポットも極端な安値が解消され、通常時の価格に戻った。 東西の主要エリアである東京と関西の電力スポットの24時間平均の値差を見ると、3月31日が3.22円、4月1日が3.60円、2日が4.80円、3日が5.75円、4日が2.82円の東高西低と、前週から大幅に拡大した。
4月第1週の燃料相場は下記のとおり。 北東アジア市場のLNGスポットは、3月第4週と同水準だった。4月3日時点で期近の25年5月着品がmmBtuあたり13ドル台前半となり、前週末時点(3月28日)から横ばいとなった。欧州の天然ガス相場の値動きに連動した。また、ロシアの動向に不透明感が強まったことも、相場の方向感を 欠く材料となった。なお、北東アジア市場では買い気が引き続き低調な中で、売り物が増えており、需給は緩和傾向が続いている。経済産業省が4月2日に公表した、3月30日時点の発電用LNGの在庫は224万トンとなり、前週から41万トン増えた。前年3月末時点の148万トン、過去5年平均の203万トンをいずれも上回った。 豪ニューキャッスル積みの一般炭相場は、4月3日時点の25年4月積みがトンあたり99ドル台半ばとなった。前週末時点から4ドル超の下落。ガスや原油価格の下落に連動した。 原油相場は、4月4日午前時点でWTIの25年5月物がバレルあたり66ドル台半ば、ブレントの25年6月物が70ドル割れの水準。前週末時点から、WTIおよびブレントともに3ドル前後の下落となった。ロシア産やイラン産原油の供給が減少するとの懸念が強材料となった一方、米国の関税政策やOPEC(石油輸出国機構)と非加盟国で構成される「OPECプラス」による増産観測が弱材料となった。とくに、トランプ米大統領が2日に発表した世界のすべての国を対象とした新たな関税措置を受け、世界経済に対する懸念が一段と強まり、原油や株式の売りが殺到する動きとなった。
週を通じた実勢高値は、3日に北海道で付けた20.96円となった。一方、実勢安値は0.01円となり、31日および2~4日に四国と九州で、1日に西日本6エリアでそれぞれ付けた。 エリア別の24時間の週間平均は、北海道が前週比で4.74円高の14.74円、東北が同5.57円高の15.12円、東京が同5.90円高の15.66円、中部が同3.14円高の11.79円、北陸と関西が同3.79円高の11.63円、中国が同3.39円高の11.21円、四国が同5.74円高の7.84円、九州が同2.55円高の10.01円だった。 売買入札量の週間平均は、売り札が前週から25.2%減の10億5,159万8,120kWh、買い札が同7.2%増の9億3,043万500kWhとなった。約定量の週間平均は、同5.1%減の7億2,467万4,200kWhだった。
3月31日~4月4日の9エリアの電力需要は、119億3,835万kWhとなり、前週3月24~28日の105億1,936万4,000kWhから13.5%増加した。曜日を合わせた前年の4月1~5日の需要実績は108億4,714万kWhで、増加率は10.1%となった。
3月31日~4月4日の東京商品取引所(TOCOM)の約定は下記表のとおり。
3月31日~4月4日の欧州エネルギー取引所(EEX)の約定結果は下記表のとおり。
4月第2週の電力スポットは、第1週に比べ東日本で下押す動きが強まりそうだ。東日本では、第1週の寒さから一転し、第2週は20度以上の最高気温が続く予報で暖房需要が急減するとみられる。西日本も、20度以上と冷暖房ともに不要の気温が続く見通しで、さらに11日を除き晴れ間が続く予報のため太陽光発電も潤沢となり、需給緩和感が強まるとみられる。第2週の価格動向について一部の市場関係者は、「東西ともにベース価格は10円未満となり、乖離していた東西値差も大幅に縮小するのでは」(新電力の需給担当者)との見通しが示された。気象見通しからも昼安夜高の動きとなり、「ダックカーブ」の値動きとなる日が続きそうだ。
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