バイオバンカー市況=原油高と可食油市況高に連れ高 5日
バイオ混合率最大30%のVLSFO価格の気配値は、ロッテルダム渡しで733.00~813.00ドル、シンガポール渡しで744.00~824.00ドルといずれも前週から続伸した。原油相場の急騰に加え、基材となる大豆やヒマワリ油といった可食油価格も値上がりし、バイオ燃料価格を押し上げた。また、このところの原油相場の高騰でバイオ燃料に割安感が強まり、需要が増えるとの見方が台頭。使用済み食用油(UCO)を原料としたFAME(脂肪酸メチルエステル《UCOME》を含む)も連れ高となっている。なお、リムの調べによると、5日時点の硫黄分0.5%以下のVLSFO価格はロッテルダムで577.00~580.00ドル、シンガポールで596.00~599.00ドル。 欧州やシンガポールを中心に、メタノールとバイオバンカーの運搬艀の製造が進んでいるようだ。ロッテルダム港では2023年夏からメタノールバンカーの供給が始まる予定。シンガポール港でも同様に、24年から政府承認のメタノール運搬艀の運航が始まるようだ。メタノール運搬艀はバイオバンカーの運搬もでき、艀内のタンクを分ければ既存のバンカーを積載することも可能という。市場関係者は、「脱炭素を進めるにはLNGバンカー、バイオバンカーだけでは不十分。さらに複数種類の脱炭素燃料が必要」と指摘。既存施設の有効活用が脱炭素燃料普及のポイントになるとした。 ただし、メタノールの精製にはLNGや石炭などから一酸化炭素を取り出し、複合酸化物を触媒として、水素と反応させることが必要。このためLNGバンカーより割高になるとされている。また、2050年までにGHG排出を「ネットゼロ」にすすめるため、LNGや石炭など化石燃料ではない再生可能な素材からメタノールを精製するのが重要との指摘もある。また、液体合成燃料「e-fuels」の基材となる水素の精製環境の向上を重視する関係者もいる。
|