インドネシア政府は今月初め、国営石油会社が販売しているガソリンと軽油の値上げを発表、即日実施した。同国で燃料の値上げが行われるのは2014年以来。販売価格は、補助金対象のガソリン(オクタン価90、インドネシアで最も一般的な油種)が1リットル当たり7,650ルピア(0.52米ドル)から1万ルピア、補助金対象の軽油が同5,150ルピアから6,800ルピアにそれぞれ引き上げられた。補助金対象外のガソリン(オクタン価92)は1リットル当たり1万2,500ルピアから1万4,500ルピアとなった。
インドネシア政府は今回の急な燃料値上げの背景について、新型コロナウイルスの感染に伴う行動規制の緩和により燃料消費が急回復しているなか、国際的なエネルギー価格が高騰していることを挙げている。インドネシアは石油製品の需要の半分近くを輸入に依存している。ジョコ・ウィドド大統領は、燃料の補助金支出が当初予算のおよそ3倍に当たる502兆4,000億ルピアまで膨らんでおり、財政への圧迫が深刻化していると述べ、国民に理解を訴えた。
今回の値上げで約100兆ルピアの支出削減効果があると伝えられている。しかし、大都市などの一部地域では、急な燃料の大幅値上げはインフレ助長や一層の生活苦をもたらすとして、デモなどの抗議行動が生じているもよう。こうしたなか、インドネシア政府はさらなるエネルギー支出削減を目的に、ロシア産の原油と石油製品の輸入を検討しているという。現地報道によると、先月、ロシアがインドネシアに対し30%ほどの値引きを前提にロシア産石油を販売することを提案したと伝えられる。
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