シンガポール政府は水素燃料による発電について、2050年を目安に全体に占める割合を50%まで引き上げることを狙う。同国のローレンス・ウォン副首相兼財務相は先月開催されたシンガポール国際エネルギー週間(SIEW、10月25~28日)の開幕講演で、1,000人を超える国内外の要人などを前に、直近のエネルギー政策の柱の1つとなる「国家的水素戦略」を発表した。
これは2050年までのネットゼロ排出達成を宣言している同国の指針に沿うもの。シンガポールの温室効果ガス排出量は2030年以前に下降に転じる見通しだが、50年の排出量ネットゼロに向けて排出量全体の40%を占める発電事業の燃料見直しを積極的に推進する。世界的規模に投資が増え、技術革新やパイプラインなどのインフラの整備が拡大している水素に注目。化石燃料から移行する主要な発電燃料として選択した。水素が半導体や石油化学工場の原材料に使用でき、船舶向けの燃料として取り組みが行われていることも有利と判断した。
シンガポール政府は今後、水素の研究開発、サプライチェーンの構築などを目的に国内外の企業と協力して投資や事業化を推進する。早ければ2027年頃までには水素を燃料とする発電事業を開始したいという。今年のSIEW来場者数は会議を運営したFinn Partnersによると、25~28日の間で1万人を超えたもよう。
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