インドネシアのプラボウォ大統領は昨年11月にブラジルで開かれたG20首脳会合で、2040年までに同国の石炭発電を廃止すると発表した。再生可能エネルギーによる発電等に切り替えることで実現するという。インドネシアはアジア最大の石炭消費国で、2050年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロの目標を掲げている。
ただ、同国関係者の間では石炭発電廃止の計画を危ぶむ声も少なくない。実際、大統領の発表後も、閣僚筋から石炭発電廃止への言及は聞かれない。インドネシアの電力需要は年間ベース5%前後と高い増加がしばらく続くとみられている。2024年1~6月の電源構成(エネルギーミックス)は石炭が39.5%、石油が30%、天然ガスが16.5%、新エネルギーまたは再生可能エネルギー(NRE)が14%と伝えられており、石炭が最多。
目標達成には毎年複数の石炭発電所の廃止が必要になるとの見方があるうえ、石炭から切り替えるNREベースの発電所の建設費用は巨額で自国の資金だけでは実現できない。ただ、現時点で外国からの資金調達のめどは立っていないといわれる。
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