中国=ANの2025年の下半期見通し
中国国内のアクリロニトリル(AN)市場は、2025年後半に向けて全般的に軟調に推移するとみられている。仮に原料であるプロピレン相場が堅調となり、一時的にAN相場が押し上げられる可能性があるものの、大幅には上昇しない見通しだ。背景には、誘導品メーカーの採算悪化が続き、装置の稼働率が低水準となっていることが挙げられる。ただ、7~9月期以降に新規設備の立ち上げが予定されており、供給が増えるとの見方も一部にある。
供給面では、吉林石化のAN設備1基(年産26万トン)が7~9月期、INEOSが天津南崗に新設したAN設備1基(年産13万トン)が10~12月期にそれぞれ立ち上がる予定。これら設備が順調に稼働開始すれば、国内のAN生産能力は合計570万9,000トンとなる見込み。
需要面では、下半期に裕龍石化(年産30万トン)と吉林石化(60万トン)のABS設備が新規稼働する予定。加えて6月中旬に稼働を開始した大慶石化および山東億科(Shandong Yike)からの出荷が増える見通し。浙江石化の第2基のABS設備も稼働率を引き上げつつある。
こうした状況下、AN市場の今後の需給バランスは、誘導品であるABS設備の新規稼働状況が大きく影響するとの見方が聞かれる。
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