9日 原油は下落、米中間の相互関税で
11時15分現在、ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)のWTI原油相場(5月限)は前日終値と比べ1ドル92セント安の57.66ドル/バレル、インターコンチネンタル取引所(ICE)の北海ブレント原油相場(6月限)は1ドル77セント安の61.05ドル/バレルと、いずれも大幅に下落した。 9日アジア時間午前の原油相場は、大幅下落。エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の野神隆之首席エコノミストによると、米中間で発生している相互関税の応酬が相場に不透明感をもたらし、売りが広がっているという。 米国のトランプ政権は、9日の0時1分(日本時間13時1分)から中国に対し税率を34%から84%に引き上げると発表している。すでに発動済みの20%と合わせ、関税は計104%におよぶ。これに対し中国当局は強気な姿勢を崩しておらず、報復装置の応酬から世界経済の鈍化及び原油需要の減少予想が広がり、原油相場は大きく弱含んだ。野神氏は、中国の強気な姿勢から「現時点では下げ止まっているものの、追加の弱材料が浮上する可能性も拭えない」と指摘する。中国は米国に対しすでに34%の相互関税を課しているが、これに追加で関税を課すと発表した場合、原油相場はさらに下落する可能性もあるという。 一方で、8日に発表された米国石油協会(API)による在庫統計によると、事前予想に反して石油在庫は110万バレルほど減少している。野神氏は、実需を織り込まず売られ過ぎているため、「ファンダメンタルな要因で反発も十分にあり得る」と見方を示した。米エネルギー省エネルギー情報局(EIA)によるアメリカ国内の石油在庫状況は、日本時間の今夜23時30分頃、発表予定だ。 日経平均株価は前日比921円38銭安の3万2,091円20銭で推移している。ドル円相場は1ドル= 145.69円と、前日の17時時点(147.40円)と比べ、ドル安・円高方向に振れている。
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