11日 原油は小動き、強弱材料混在で
11時15分現在、ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)のWTI原油相場(10月限)は前日終値と比べ横ばいの63.67ドル/バレル、インターコンチネンタル取引所(ICE)の北海ブレント原油相場(11月限)は同1セント高の67.50ドル/バレルと、いずれも小動き。 11日アジア時間午前の原油相場は小動き。エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の野神隆之首席エコノミストによると、3日連続の上昇を受け利益確定売りにより上値が重く、膠着した状態だという。 市場は強弱材料が入り乱れている。10日未明、ポーランド領空内をロシアの無人機19機が飛来したと同国国防省が伝えた。これを受け、イギリスやフランスなど北大西洋条約機構(NATO)加盟国から非難が相次いだ。これに先立ちアメリカのトランプ大統領はロシア産原油を引き取る中国、インドに対し最大100%の関税を課すようEUに要請しており、「ロシアへの制裁強化懸念が相場に上方圧力を加えている」(野神氏)。 一方で、米エネルギー省エネルギー情報局(EIA)による石油在庫統計によると、事前予想に反して原油在庫は394万バレル、同ガソリンは146万バレル、軽油、暖房油は472万バレルともに増加。石油需給の緩和感が意識された。くわえてガソリンの出荷量は9月に入り日量60万バレル減少しており、不需要期に入ったことが数字の上でも示され、市場に下方圧力を加えている。 今後の相場について野神氏は、材料の出尽くし感もあり様子見ムードが強いなか、「ロシアを中心とした動向に注目」と解説。制裁強化によりロシア産原油が市場から排斥される方向へ進めば、供給懸念により市場は上昇する可能性が高いという。「地政学的リスクから、底堅い展開となりやすい」と野神氏は締めくくった。
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