日本LPガス協会=グリーンLPガス研究会を立ち上げ
日本LPG協会は、グリーンLPガスの生産技術開発に向けた研究会を立ち上げたと発表した。同協会によると、グリーンLPガスとは、生産から消費の過程で正味の二酸化炭素(CO2)排出ゼロを達成するLPガスを指す。菅首相が10月26日、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすると所信表明演説で発表したことを受け、カーボンニュートラルな社会形成に向けた動きが国内で加速化すると予想される。この中、分散型エネルギーとしての強みを持つLPGについても遅れをとることなく、グリーン燃料としての技術開発を進めていく構えだ。
グリーンLPガスの根幹となる技術は、「プロパネーション」や「ブタネーション」、「バイオLPガス」を想定する。プロパネーションおよびブタネーションとは、水素と二酸化炭素から人工的にプロパンやブタンを合成する技術を言う。天然ガスの主成分であるメタンを人工合成する技術、「メタネーション」は国内で試験設備の稼働実績があるが、プロパネーションおよびブタネーションに関してはそれぞれの収率の確保が難しく、研究段階にある。今回立ち上がった研究会の座長は、これらの合成技術の発展に必要不可欠な触媒開発で知られる早稲田大学の関根教授が務め、最新の知見の収集や課題の抽出を行う。
バイオLPガスとは、植物資源や生ごみなどの有機性廃棄物を原料として製造されたLPGを指し、主にバイオディーゼルの精製プロセスで発生したオフガス(未利用で放出されるガス)から製造されている。この技術では欧州が先行しており、オランダのSHVエナジーやスペインのレプソルといった企業が事業の一環として取り組んでいる。研究会では、バイオLPガスの普及に取り組む世界LPガス協会(WLPGA)との情報交換を進めるほか、新型コロナウイルスの感染拡大の状況を考慮しつつ、来年度以降の欧州への視察も視野に入れ、情報収集を図るという。
研究会は11月20日に第1回会合を開き、来年3月末を目途に最新技術の内容や課題を整理した研究報告書をまとめる予定。研究会の構成員には資源エネルギー庁や産業技術総合研究所のメンバーも含まれ、研究会で集積される知見は、官民が協力のうえ進めていくためのマイルストーン作りの基礎となる。脱炭素化に向け大きく舵を切る世界の中で、日本のLPガス業界も大きな一歩を踏み出した。
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