新春特集=バイオマス、2021年の注目材料
2021年の相場について、市場関係者から現状維持、ないしはやや底上げを見越す声が寄せられている。木質ペレット相場は引き続き供給過剰が続き、2020年と同水準で推移するという予想が聞かれた。一方、日本向けの需要は大型発電所の立ち上げとともに増加傾向にあるため、やや高い水準に向かうとの指摘も寄せられた。
大半の市場関係者が日本向けのPKS需要は増加する一方、供給能力不足で需給は逼迫し、2021年は前年を上回る水準で展開するとみている。中には需給バランスの悪化で相場の急伸を招き、スポット価格が最大130ドルまで上昇するとの声も寄せられた。
2021年相場に影響を与えると予想される注目点として、市場関係者の多くはペレット、PKSともに新規バイオマス発電所の稼働による需要増を挙げた。下記表に2021年稼働開始予定の大型バイオマス発電所を示した。いずれのバイオマス発電所も木質ペレット、あるいはPKSを使用する計画で合計出力は555MWに達する。リムが調べた2021年稼働予定のバイオマス発電所は以下の通り。
バイオマス発電所の稼働数が年々増えているため木質ペレット、PKSともに輸入量も増加傾向だ。2020年1~10月の輸入量はペレットが163万6,000トンと前年比24.2%増、PKSは181万7,000トンと同43.4%増となった(下記表)。これに加え、2021年に稼働予定の大型バイオマス発電所が仮に全燃料を木質ペレットやPKSで賄うとした場合、年間の輸入量は合計280万トン増加すると試算される。
また、新規燃料が今後どのようなタイミングで固定価格買取(FIT)制度の対象となるかにも注目が集まっている。2020年度までにFIT制度で区分される「一般木質バイオマス・農産物の収穫に伴って生じるバイオマス固体燃料」に該当するのは木質ペレットやPKS、パームトランクだが、バイオマス発電事業者協会からの要望を受け、EFB(パーム椰子果実房)やソルガムなど多数が新規燃料として検討されている。これらの新規燃料がFIT制度の対象となった場合、既存のバイオマス燃料とどのように競合するかが注視されている。
そして、PKSに関しては、第三者認証による持続可能性の確認が求められており、2022年3月末までの経過措置期限が迫っている(※2020年12月上旬時点の経過措置)。今後は持続可能性を巡る議論の行方がバイオマス燃料市場全体において存在感を増すことが予想され、第三者認証の取得有無がスポット市場でも重要視されそうだ。