新春特集=バイオマス、「2021年は脱炭素社会実現への機運上昇」
2021年はカーボンニュートラル達成を目指すと宣言する国が相次ぎ、第26回気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)では、パリ協定が掲げる長期的な目標を世界が共有した。脱炭素化社会実現に向け機運の高まった1年だったといえよう。 主力電源化が急がれる再生可能エネルギーのなかでも、バイオマス発電は自然条件に左右されることなく、24時間安定的に稼働できるベースロード電源として着実に普及が進んでいる。 ただ、バイオマス発電には燃料が必要だ。原油高や天然ガスの高騰に見舞われた火力発電と同様、燃料の相場動向が発電所の安定稼働に大きく関わることになる。
2021年バイオマス燃料相場の振り返り
グラフ1: 2021年木質ペレット価格動向 出所:リム情報開発バイオマスレポート
2021年の各輸入バイオマス燃料価格動向をグラフにまとめた(グラフ1~2)。東南アジア積み木質ペレットは、上期まで韓国向けがトンあたり90~100ドル、日本向けが同110~120ドルで推移したが、下期からはそれぞれ20ドル程度相場が強含んだ。 価格上昇の背景には、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、木質ペレットの主要生産国であるベトナムで7~9月にかけてロックダウンが実施されたことがある。感染拡大防止策として厳しい操業制限や移動制限が課され、特に製造業では工場での宿泊や飲食が出来ない場合、操業自体が望めないなどの条件の下、多くの木質ペレット製造工場の稼働率が落ち込んだ。
グラフ2: 2021年PKS価格動向 出所: リム情報開発バイオマスレポート 2021年のPKS相場は、インドネシア積みとマレーシア積みの格差拡大が際立った。インドネシア積みがマレーシア積みに比べて上昇幅が大きくなった要因は、供給逼迫と関税額の上昇だ。2021年のターム供給契約はインドネシア積みのシェアが大きく、主要出荷地では現地の供給業者間の原料調達競争が激化し、調達コスト高が相場に響いた格好だ。 一方、マレーシア積みはゴム手袋工場向け燃料として、国内需要の高まりや新型コロナの感染拡大に伴う供給不安で年初こそ急騰したものの、通年では下落基調となった。ターム供給契約に占めるシェアが小さく、サプライヤーのスポット販売余地が多かったことに加え、フレートコストの急伸がFOBベースのコストへの下げ圧力となったと指摘されている。 |