新春特集=2024年アジア市場はガソリン、ジェット燃料に需要増、ナフサ、軽油、重油に軟化の兆し
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2024年はガソリン需要の増加見通しが広がっている。3年間続いた新型コロナウイルスの感染拡大やそれに伴う経済自粛の解除から1年が経過。東南アジアなどの需要減退はすでに底を打ち、反動局面に移行しているとの指摘が多数伝えられている。 ジェット燃料市況は、世界的な航空需要回復で堅調との見通しがある。シンガポール先物市場では昨年11月下旬以降、軽油とジェット燃料の値差を表す「リグレード」が逆転。これは新型コロナ前の2019年以来のことで、ジェット燃料の引き合いが強いことを示す。 一方、軽油は軟調との見通しが寄せられている。昨年11月にはロシアが軽油の禁輸措置を完全に解除すると市場に伝わった。このなか欧州は経済減速と暖冬予報で実需が振るわない。アジア域内も経済減退から軽油需要が伸び悩んでいる。これまで先物市場は期近の供給不安で期先にかけて急なバックワーデーションを形成していたが、スプレッドは縮小している。スプレットの変化は相場の変化、地合いの変化と捉える市場関係者も少なくない。 重油市況は、クウェートのアルズール製油所(日量61万5,000バレル)の稼働状況に大きく左右されそうだ。同製油所は2023年半ばまでに常圧蒸留装置(トッパー)3基が稼働を開始したものの、年末まで稼働が安定せず、主力製品の低硫黄重油は輸出量が限られた。「2024年は稼働が安定し、アジア向け輸出が大幅に増加する」(韓国の石油会社)との見方が伝えられている。 ただ、引き続き安定稼働を不安視する市場関係者も見受けられる。一部の韓国石油会社もクラックマージンが比較的堅調に推移している低硫黄重油の精製量を増やす傾向にあり、アジア市場への輸出を継続する方針だ。アジア域内で低硫黄重油の供給が潤沢に推移するとの観測も浮上している。
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