新春特集=一般炭価格、2024年は弱基調続く可能性
2023年の発電用石炭(一般炭)の豪ニューキャッスル積み価格は340ドル台で始まった。ロシアによるウクライナ侵攻の影響で品薄感が強まっていた2022年の市況を引きずり、世界的に価格が高騰していた。ただ、結果的に1月6日に付けた372.00ドルが23年の最高値となり、1月後半以降は価格が急落。3月以降はほぼ100ドル台での推移となった。北半球で冬場の需要期を迎えつつある11~12月も市場は盛り上がりを欠いた。
2022年の歴史的高値から一転、価格が大きく下げた背景には、冬場の欧州で当初の予想より需要が伸びなかったことがあった。欧州では昨冬、ロシアからの天然ガス供給途絶に備えて液化天然ガス(LNG)や石炭の需要が高まるとの見通しが聞かれていたものの、暖冬のため需要が停滞。高在庫から世界的に石炭価格が押し下げられる結果となった。一年を通してこの傾向に変化はなかった。 2024年もこの流れを引き継ぐ可能性がある。市場では、ロシアからの供給減はすでに織り込み済み。また、アジアでは中国の需要不振が続き、発電用石炭の需要が後退するとの見方がある。さらに23年11~12月にアラブ首長国連邦のドバイで開いた第28回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP28)では、欧米諸国を中心に石炭火力発電所の新設禁止や既存の発電所の段階的廃止の流れが強まった。日本は依然として電源の3割近くを石炭火力が占めているものの、23年後半の一般炭輸入量は前年を下回った。 ただ、石炭火力発電所への依存が大きい中国やインドなどは、こうした方針に強く反対している。再生可能エネルギーへの投資などにも力を入れているものの、当面は石炭火力を主要な電源と位置づいている。実際、世界的にみれば石炭使用量は減少する気配をみせていない。このため石炭価格が思ったほど下落しないとの見方もあるようだ。 日本の一般炭輸入量および輸入単価
出所 財務書貿易統計
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