新春特集=2026年バンカー需要、スエズ通航再開で減少の可能性も
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2026年のバンカー需要は、前年並みから最大で5%の減少となりそうだ。 海運ブローカー大手のClarksonsのデータによると、2025年9月末時点の世界の船舶数は、隻数ベースで114,657隻(2024年初比4.0%増)、載貨重量トン数(dwt)ベースで24億9,090万dwt(同5.8%増)となっている。世界の船舶は増加基調だが、燃費性能に優れた新造船が竣工する一方、燃費が悪い老齢船は退出しているため、1隻あたりの燃費性能は向上している。また、船舶の入れ替えのみならず、環境技術の導入や減速航海など、既存船における燃料消費量削減に向けた取り組みも進んでいる。市場関係者の間でも、燃料の販売量が増えるとの見方は聞かれず、世界のバンカー販売量は2026年も横ばいから減少となる見方が大勢を占める。 燃料の消費量は、海運市況によっても左右される。船腹需給が引き締まれば、海運各社は船速を上げて船の稼働率を最大限に高める。船の燃料消費量は一般的に速力の3乗に比例するため、市況が上がり船速が速くなれば、各船の燃料消費量が増加することになる。ただ、海運関係者によると、現時点で市況が乱高下する見通しはないという。 一方、バンカー需要を大きく左右する一つの要素が、紅海情勢だ。2025年11月、イエメンの武装組織フーシ派が、紅海を通る商船への攻撃を停止する方針を示したとの報道が伝えられた。世界貿易機関(WTO)によると、紅海を通過する貨物は世界貿易の約15%に相当する。仮に紅海情勢が正常化し、喜望峰回りから紅海経由への切り替えが進めば、バンカー需要は大きく減少する可能性がある。 フーシ派は2023年11月から、紅海上で商船への攻撃を開始。このため、多くの海運会社がアジア・欧州航路を、紅海からスエズ運河を経由して地中海に向かうルートから、喜望峰回りに切り替えていた。スエズ運河の通航量は2023年に26,434隻だったが、攻撃開始後の2024年に13,213隻に半減している。希望峰回りは、紅海ルートよりもアジア・欧州間で航海日数が1~2週間長い。このため、希望峰回りの船は、シンガポールで多めに燃料を補給する必要がある。仮に紅海ルートが復活すれば、こうした特需がなくなるため、バンカー需要にも大きく影響する可能性がある。 現時点で邦船社は紅海周辺地域への配船に慎重な姿勢をみせている。通航の再開には、保険会社や船主との調整も必要となるため、自社だけで再開を判断することはできない。また、喜望峰回りは航海日数が長いため、船腹供給量を引き締め、海運市況を下支えしている側面もある。こうした要素も、海運会社が紅海経由に慎重になる一因とみられる。何よりも安全運航を至上命題とする海運会社にとって、情勢が依然不安定な紅海を通ることは大きなリスクを伴う。ただ、荷主の要望や海外船社の動きによっては、海運各社は方針転換を迫られる可能性がある。 |



