バイオ混合率最大30%のVLSFO価格の気配値は、ロッテルダム渡しで759.00~779.00ドル、バイオ混合率最大24%のVLSFO価格の気配値はシンガポール渡しで734.00~754.00ドルといずれも小幅に続伸した。市況連動相場の商いでは、前者がFOBロッテルダム0.5%S重油市況(バージ)に対し175~185ドルのプレミアム、後者がシンガポール0.5%S重油市況比で129~139ドルのプレミアムで成約されているようだ。欧州連合域内排出量取引制度(EUA)では、二酸化炭素(CO2)の先物価格は14日現在、トンあたり54ユーロ台で推移している。 輸送コスト高を背景に、ロッテルダム渡しのFAME(脂肪酸メチルエステル《UCOME》を含む)価格は1,070ドル台後半で小動き。タンカーおよびケミカルタンカーが紅海/スエズ航路を避け、喜望峰経由でアジアと欧州間を往来することにより傭船料が上昇。FAME価格を押し上げている。一方、バイオディーゼルの余剰感を受け、FOBロッテルダム0.5%S重油市況に対するプレミアムは伸び悩んでいる。 バイオディーゼルの余剰感が強まっているのは、安価な中国品が欧州で流通していることが背景にある。中国品の一部は、可食部分を原料としたバイオ燃料(1st Generation)であるのにもかかわらず、非可食および再生可能エネルギー由来のバイオディーゼル(2G)として欧州で販売されている。在庫も増加しており価格急落の要因となっている。欧州議会は、欧州でバイオディーゼルが公正に取引されるよう、2024年7月までに中国輸出品に対して暫定関税を課す可能性がある。
持続可能な航空燃料(SAF)の需要低迷もバイオディーゼルが余剰になっている要因の1つとして挙げられる。国際民間航空機関(ICAO)によると、24年のSAF生産量は、23年比で3倍にあたる18 億 7,500 万リットル(150万トン)を想定。ただ、実需が追い付かず世界的に余剰感が強まった。24年はSAFの需要が急伸する一方、バイオディーゼルの供給懸念感が強まっており、失望感からバイオディーゼル価格が軟化している。
ロッテルダムのバイオバンカー需要は安定しているという。ただ、ロッテルダム渡しのバイオバンカーに対する補助金額が軽減され、固定価格が上昇していることにより販売価格がシンガポールを上回っている。
シンガポールでは、大手船会社が買い付け入札の開示を増やしており、価格競争が激化しているようだ。市場関係者によると、調達ロットによって成約値は異なるものの、売唱えはシンガポール0.5%S重油市況に対し125~165ドルのプレミアムが聞かれる。売り手によると、今後の価格競争に備えるにはバイオバンカー用の陸上タンク設置が欠かせないという。シンガポールでは、30万トン以上のバイオディーゼル(B100)を蓄え、B24-VLSFOの月間販売量を足元の2倍となる約10万トンまで伸ばす必要があるという。一方、VLSFOのコストが安価になれば、燃料転換は容易との指摘も聞かれた。

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