石油連盟=都内で賀詞交歓会を開催
石油連盟は7日、東京都千代田区の経団連会館で賀詞交歓会を開催した。同連盟の月岡隆会長(出光興産代表取締役会長)は年頭所感の中で「石油の安定供給確保」、「地球温暖化対策」、「経営基盤の強化」を2020年の重点課題に挙げた。
「石油の安定供給確保」については、石油のエネルギー供給における「最後の砦」としての重要性を強調。また、中国などの需要増で資源獲得競争が激化する中、官民の協力による調達ルート確保の重要性が一層高まっている。原油供給の中東リスクを緩和するため、調達先の分散も必要とした。
「地球温暖化対策」では、石連がまとめた「石油産業の長期低炭素ビジョン」に沿い対策に取り組む。ただ、月岡会長は過度な温暖化対策が化石燃料に与える悪影響も懸念。自国資源に乏しい日本では、エネルギー安全保障のため化石燃料の有効活用が欠かせない。温暖化対策で議論される炭素税など石油への課税強化については、石油業界の競争力低下、消費者負担の増加などを招くため「断固反対」との姿勢を鮮明にした。
「経営基盤の強化」では、石油元売りの再編などによる経営基盤の強化を通し、引き続き安定的な供給体制の維持を図る。また、製油所間や石油化学業界との連携、海外事業への参入、総合エネルギー産業化への取組みなど攻めの姿勢で新たなビジネスチャンスを追求していく方針だ。
一方、2020年の原油相場について、月岡会長はWTIで55~65ドル/バレルのボックス相場が続きそうなものの、米中貿易問題、米国、イラン間の緊張の高まりなどを考慮すると、19年より上振れの可能性があると指摘。また、足元の米国、イランを巡る地政学リスクに関しては、日本では19年に起きたサウジアラビアの石油施設への攻撃後、原油備蓄放出のシミュレーションなど有事への対策を重ねてきた。国内の石油供給の懸念はないとの見方を示した。
国際海事機関(IMO)による船舶燃料の硫黄分規制強化が与える石油製品価格への影響については、短期的に軽油、LSA重油の市況を押し上げる可能性があるものの、長期的にはA重油も船舶のスクラバー搭載が進み消費の復調が期待されるなどガソリン、灯油も含め、油種間の価格差が乖離する状況の継続は見込みにくいと述べた。 賀詞交歓会には昨年を上回る約750人が参加。盛況のうちに幕を閉じた。