LPG=精製玉の商談が一巡、下落基調に歯止め
液化石油ガス(LPG)の国内スポット相場に底入れ感が漂っている。7月渡しの陸上相場は、千葉や四日市の製油所で生産された精製玉が安値で出回り、上旬から下落基調が続いていた。しかし、精製玉の供給は元売りの在庫が低下したことでひと段落。一方、国際市場での需給引き締まり感を背景に、LPGの輸入コストは7月から8月にかけて上昇する見通しだ。このコスト上昇が国内市場での販売価格に転嫁されるため、元売りは当面の間スポット販売を控え、在庫を温存する構え。スポット供給が引き締まることで、陸上相場の下げ圧力に歯止めがかかりそうな情勢だ。
図=7月渡しの国内陸上スポット相場
7月渡しのスポット取引は6月末にプロパン4万6,000円前後、ブタン4万4,000円前後の水準で始まった。だが7月に入ると、コスモ石油千葉製油所や昭和四日市石油製油所で余った精製玉がスポット市場に供給され、相場は徐々に軟化(上図参照)。千葉出しの精製玉はプロパン4万4,000円、ブタン4万3,000円での成約が相次いだ。
しかし、両製油所を利用するLPG元売りのジクシスによると、精製玉の在庫は先週までにあらかた片付いたという。また、コスモ石油の千葉製油所では、流動接触分解(FCC)装置の不具合も重なり、精製されたLPGが自家燃料として使用されているようだ。ディーラーからは「精製玉が市場に出回ったことで、顧客からのオーダーが当初の想定を下回っている」という声も聞かれるものの、精製玉の商談はすでに一巡した状況だ。
さらに、輸入価格のベースとなるアラムコCPの8月予想価格がここにきてプロパンで360ドル、ブタンで350ドルにまで上方修正された(下表参照)。この背景には、原油の協調減産を受けてサウジアラムコのLPG在庫が依然として低いとみられていることや、韓国の石化向け需要を中心とした買い気の高まりがある。
表=アラムコCPの確定値と予想値(15日時点)
卸業者向けの販売価格(仕切り価格)には、当月と前月のCPがかかわってくる。6月のCPがプロパン350ドル、ブタン330ドルだったため、7月CPと8月CPをベースにする8月仕切り価格は、7月仕切り価格や現行のスポット相場を上回る公算が強まってきた。そのため、元売り勢は輸入玉についても7月渡しのスポット販売を取り止める意向だ。売り物が減るなか、国内のスポット相場に反転の兆しが現れるか、市場関係者の注目が集まっている。
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