新春特集=世界の製油所動向と今後の展望
2020年は世界的な新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、石油製品の需要が低迷した。石油製品のクラックマージン悪化を背景に、各国の石油会社は製油所稼働率を抑制せざるを得なかった。各社の減産効果もあって、年後半は在庫が低水準に推移し、需給はバランスする格好となった。
中国で大型製油所の新規稼働が相次ぎ、アジアの需給動向にどう変化を及ぼすかが注目された。ただし、実際には石化設備との統合型施設の形態が基本であるうえ、供給先も中国国内向けが主流となったため、国際市況への影響は限定的だった。
石油製品の油種ごとの動向をみると、2020年の始めは、国際海事機関(IMO)による船舶燃料の硫黄分規制強化のため、一時的にVLSFO市場が過熱し、製油所の対応に注目が集まったものの、その後の新型コロナの拡大で船舶の航行が減少。VLSFOの需要も一服する格好となった。新型コロナはヒトの移動も大幅に制限した。このためジェット燃料やガソリンの余剰感が深刻化した。
一方、各国で巣ごもり需要が台頭するなどしたため、軽油はコロナ禍にあっても、比較的堅調に推移した。米国では分留装置の新増設が進み、エタンやプロパンなどの供給が大規模化し、アジア向け輸出も増加した。ガソリンの基材となるヘビーグレードナフサのプレミアムも低迷した。ただし、石化派生製品の基材となるパラフィン比率の高い中東品質のライトグレードナフサに対する引き合いは強まった。
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