新春特集=製油所動向、欧米の動き
米国では、英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルが2020年11月に米国のコンベント製油所(日量21万1,000バレル)を閉鎖すると決めた。新型コロナの影響で買収先が見つからなかった。米国の製油所稼働は日量1,400万バレル程度と、ハリケーンの影響もあって5年平均で過去最低の水準となっている。
また、米エネルギー情報局(EIA)の統計では、20年の米原油生産は日量1,139万バレルと、前年から同86万バレル減となった。2021年の予想は39万バレル減の1,110万バレルとなっている。2021年後半には、石油・ガス採掘稼働数(リグカウント)は増加する見込み。一方、2021年の米石油需要は日量1,997万バレルと、174万バレル増の見通し。
欧州はどうだろうか。仏トタルは、新型コロナウイルス感染拡大を背景とした石油製品需要の低迷、採算性の悪化で2020年11月30日から4カ月間、ドンジュ製油所(日量22万バレル)の稼働を停止した。
ただ、同設備の改修工事は継続している。イネオスグループのペトロイネオス社は、英スコットランドのグレンジマスに所有する製油所(日量20万バレル)の操業を50%程度停止することを計画している。
ガンボーは、ベルギーのアントワープ製油所(日量11万バレル)を停止する。欧州の石油製品の主要仕向け先は米国やアフリカで、欧州の各製油所の稼働動向は特に米国市場の需給動向に左右される。石油製品需要は2021年もやや軟調に推移すると見込まれ、欧州の製油所はやや低調な稼働状況が続きそうだ。