新春特集=国内ガソリン相場、輸入玉の行方
輸入ガソリンの入着玄関口である関門地区の輸入採算価格と福岡スポット価格を比較すると、輸入安、国内高が鮮明だ。新型コロナウイルスの感染拡大で海外市況は軟化する一方、元売り再編による流通見直しで国内市況は維持されたことが2020年は顕著に表れた。この内外価格差を利用し、輸入業者は商機が増加した。
また、内需後退を受け、全体の製販バランスを維持するため製油所の稼働を落とし、そのカバーとして輸入を積極的に活用した元売りも出始めた。6~8月の平均輸入量は40万klに達しており、うちENEOSやコスモ石油がまとまった数量を輸入したとみられる。春の定修や突発的な装置トラブルが重なったため、元売り各社もトッパーの稼働が上げられない状況下で輸入に頼らざるを得なかった。2019年の輸入量は230万6,231klに対し、20年の輸入量は10月時点で275万2,602klと既に2019年を上回っている。
2021年も一定量の輸入玉が市場に流入する状況に変わりはないだろう。経済活動が制限される中、ガソリンや中間留分の生産最適化を考えた場合、製油所のトッパー稼働率引き上げにはおのずと限界がある。ガソリンは輸入頼みの状況が続きそうだ(下記表)。
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