新春特集=LPG相場、2022年も「パナマ運河」動向が焦点
原油・天然ガスの連産品であるLPGは、両者の価格動向に左右される部分が大きい。また、先物市場の数字にはまったく現実味がない。不透明なことこの上ないLPG価格の先読みを望むなら、現物のスポット価格を毎日つぶさに観察していくことが最も有効な手段である。それを承知の上で、2022年のLPG相場を把握するために、おさえるべき要点をいくつか挙げてみたい。
FOB中東動向
OPECプラスに加盟するサウジアラムコやクウェートが原油生産の回復に合意しているため、こうした国々からのLPG輸出量は増加すると見込まれている。
一方、主要消費国のインドは2021年に引き続き、今年も国内消費量の伸びが鈍そうだ。2016年から始まったPMUY政策(貧困層にLPGシリンダーを無償提供する政策)が一段落しているため、同国からの旺盛なスポット調達は期待が薄い。さらに、12月に入ってからインドの輸入業者が中東産ではなく、米国産LPGを物色する動きも出てきた。このなか、中東産LPGの需給は緩みそうな気配が漂っている。先物市場では、アラムコCPが1月から7月まで期先安を描いている。7月CPの価格は560ドル前後。そこから反転して、12月CPの570ドルまで緩やかに上昇していく展開だ。
CFR極東動向
注目はプロパン脱水素装置(PDH)向けの需要だ。2021~22年は新規のPDHが10基以上立ち上がり、2022年の中国LPG輸入量は21年よりも200万トン近く増える見通しだ。
ただ、供給が枯渇することはないだろう。米国は低在庫に喘いでいるとはいえ、輸出量を増やすだけの生産能力を十分に有している。2022年の輸出量が年率5%程度で増加するとの試算もある。加えて、アフリカやカナダからの輸出も増える予定だ。
最後はパナマ運河動向
問題はパナマ運河である。長期間にわたる滞船が発生しやすくなっているうえ、2022年1月からはLPG船が簡単に通航を予約できなくなる。滞船料の加算や供給不安が生じると、米モントベルビュー市況やアラムコCP、フレート相場を押し上げることが予想される。2022年が始まってからしばらくはこのパナマ運河の混雑具合に焦点が集まりそうだ。