新春特集=アブダビ産原油、日本の原油輸入価格に大きな影響
2021年3月29日、ICEアブダビ先物取引所(IFAD)がアブダビ産主要原油マーバンの取引を開始した。IFADはインターコンチネンタル取引所(ICE)、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ国営石油会社(ADNOC)およびオイルメジャーら9社が共同して設立した取引所だ。
今回のIFAD設立は、先物市場の取引で価格の透明性および予見性、供給の安定性を高めるとともに、中東産原油市場における指標原油価格としての地位確立を狙ったものだ。
IFADの取引開始以降、アブダビ産マーバン原油の公式販売価格(OSP)は、IFADの取引価格における月間平均価格が採用されることになった。
また、同国産の他油種であるウムルル原油およびダス原油、アッパーザクム原油のOSPもIFADの月間平均価格をベースとして決定。日本の石油元売り各社を始めとした消費国の長期契約者が購入するアブダビ産のほとんどすべての油種価格が、IFAD市場で直接あるいは間接的に決定されることになった。2020年ではこれらのアブダビ産原油は日本の輸入量の約30%を占めており、2021年ではさらに増加する見通しだ。
このアブダビ産原油の流通量を背景に、IFADの出来高は11月までの8カ月間で100万枚を達成。これは10億バレルに相当する。現在の中東産原油の指標価格はドバイ原油となっているものの、これが将来的にはIFAD市場のマーバンが取って代わる可能性も視野に入っており、2022年の原油市場における注目点の1つと言っていいだろう。