燃料油補助金=5週目も5円/L公算大、上限引き上げなら上乗せも
燃料油価格の高騰を抑える名目で、政府が石油元売りなどに支給する燃料油補助金は支給開始から5週目に突入する24日以降もリットルあたり上限の5円を維持する公算が大きい。一方、このところの原油市況の急騰を受け、政府は上限の引き上げなどを検討しているとみられる。その場合にはさらに上乗せされる可能性もある。
【5週目の発動条件価格】「21日時点の全国RG小売価格」+「17~23日適用の補助金単価」≧171円
5週目からは21日時点の全国平均レギュラーガソリン(RG)小売価格と、前週(17~23日)の補助金単価5円を足した値が171円以上だった場合に補助金が支給される。燃料油価格激変緩和の制度趣旨を踏まえ、発動条件価格は4週目までの170円から1円上がる。21日時点の全国RG小売価格が166円以上だった場合に発動となる。
【新たな基準原油コスト】「7~10日のドバイ原油週間平均価格」-「発動条件価格171円超過分」
補助金単価を決める基準原油コストも5週目から算定し直す。2週前(7~10日)のドバイ原油週平均価格66.2円から、発動条件価格171円超過分を差し引いた額が新たな基準原油コストとなる。
14日時点の全国RG小売価格は前週比0.2円高の171.4円だった。これが21日も変わらないと仮定すると、前週の補助金単価5円との合計は176.4円。このうち171円超過分の5.4円を、66.2円から差し引いた60.8円が新たな基準原油コストとなる。
21日時点の全国RG小売価格が171.4円を上回った場合、その分だけ基準原油コストは下がる一方、下回った場合には上がる。例えば、171.6円まで上がった場合、新たな基準原油コストは60.6円となるが、171.2円まで下がった場合には61円になるといった具合だ。
最大手元売りのENEOSは17~23日に適用する基準価格を、当週の補助金単価5円を織り込んだうえで、前週から1円引き上げた。卸価格の上昇で、21日時点の全国RG小売価格も相当程度上がるとの見方が強まっている。とすれば、新たな基準原油コストは高くとも60.8円にとどまりそうだ。
【5週目の補助金支給単価】「14~18日のドバイ原油週間平均価格」-「新たな基準原油コスト」
5週目の補助金単価は新たに算出された基準原油コストと、前週(14~18日)のドバイ原油週平均価格との差額となる。16日午前のドバイ原油価格と、同日の為替相場が18日まで変わらないと仮定すると、同週のドバイ原油週平均価格は67.8円と推定される。基準原油コストとの差は7円程度と、現行の支給上限の5円を上回る公算が大きい。
上限を超えた原油コストについては補助金の対象にならないため、小売価格の上昇に直結する。価格抑制効果が弱まるとの見方から、政府は上限の引き上げなどについて検討を進めているもよう。上限が引き上げられた場合、5週目の補助金はさらに増額となる可能性がある。