東商取=先物4月ガソリン・灯油陥没、軽油高止まりで現物と乖離
東京商品取引所(TOCOM)の石油先物4月限が25日に納会を迎えた。政府が石油元売りなどに配る補助金額が大幅に増えたことを受け、ガソリンと灯油は大きく値崩れした。原油との価格差であるクラックスプレッドはマイナス圏に沈んだ。これに対し、軽油は相場が高止まりした状態が続き、クラックスプレッドもプラス圏を維持。現物市場の動きと乖離する様子が浮かび上がった。
TOCOMの京浜バージガソリン4月限は78,000円、灯油は79,000円でそれぞれ納会を終えた。原油価格の上昇に反して相場が下がったため、原油3月限の25日の帳入値83,690円に対し、それぞれ5,690円、4,690円のマイナスだった。石油製品価格は原料となる原油価格に一定のプレミアムが乗った形で連動するのが一般的だが、逆ざやとなる「異常事態」となった。
出所:東京商品取引所(TOCOM)
この背景には、政府が燃料油価格の激変緩和を目的に石油元売りなどに配る補助金がある。支給単価の上限が3月10日からキロリットルあたり25,000円まで引き上げられたことで支給額が大幅に拡大、現物相場を圧迫した。補助金支給が4月以降も継続されるとの見方が広がると、先物4月限相場にも下押し効果が波及した。
一方、軽油先物当限の納会値は91,800円と、原油当限対比で8,110円のプラスを維持した。軽油も補助金の対象となるため、3月に入り原油相場が上がっても現物相場は下がり続けた。ところが、先物相場への下げ効果は限定的で高止まりした状態が続いた。その結果、現物との価格差は10,000円を突破し、過去最高水準となった。TOCOM軽油先物価格は内航船向け適合油価格指標などの決定の際に使用されている。
出所:東京商品取引所(TOCOM)およびリム情報開発
TOCOM軽油先物はこの数年間取引実績がないため、値決めは実取引ではなく、市場参加者へのヒアリングに基づいている。TOCOM関係者が軽油引取り税の特別徴収義務者数社に対し手数料を払い、買い気配と売り気配の中値を毎日聞き取っているという。