補助金解説=「内燃研適合油価格」に関する補助金の扱いについて
燃料油の価格高騰を緩和するために政府が導入している、「燃料油価格激変緩和措置」で補助金の受給対象者となっている石油元売りや輸入業者は、燃料油の販売に対し補助金を受け取る際、補助金支給単価相当額を卸価格に反映させることが必要だ。そのことを確認できる資料を政府に提出することが求められる。
燃料油の取引価格を決定する際、価格指標に連動させるケースが多い。こうした価格指標の1つに「産業用C重油の体系(メニュー)価格」がある。これに基づいて販売した場合、補助事業者は補助金相当額を別途買い手に渡さないと補助金を受け取ることができない。
一方、価格指標の中には、すでに補助金相当額が織り込まれているとみなされるものがいくつかある。経済産業省によると、「石油製品先物価格」はその1つだ。
補助事業者が先物価格に基づいて販売した場合、補助金相当額を別途買い手に渡さなくても、補助金を受け取ることができる。ただし、その場合には先物価格を参照して販売価格を設定したことがわかるエビデンスを示す必要がある。
では、補助金相当額が織り込まれているとみなされる指標と、そうでない指標が組み合わされた場合はどうか。内航船向けの燃料取引に使用される指標「内燃研適合油価格」は、みなされる「軽油先物価格」と、みなされない「C重油メニュー価格」とが、半々の割合で合成されているため問題となる。
経済産業省によると、各指標の組み合わせの按分などの合理的な方法により補助金支給単価を算出すればよい。つまり、補助金相当額が織り込まれているとみなされない割合分だけ買い手に対し補助金を渡せば、補助事業者は補助金の全額支給を受けることができる。
したがって、補助事業者は「内燃研適合油価格」に基づいて販売した場合、買い手に別途渡す必要がある補助金は、補助金相当額が織り込まれているとみなされない「C重油メニュー価格」の割合に相当する半分だけでよいことになる。
仮にある週の補助金支給単価がリットルあたり20円だった場合、当該週に「内燃研適合油価格」に基づき販売した補助事業者は、買い手に引取り数量に対し同10円だけ渡したことを示せば、補助金を全額受けることができる。補助金の月平均単価を用いる場合も同様だ。
ただし、「内燃研価格」は燃料商社と船社の代表が四半期ごとにフォーミュラに基づいて内々に交渉で決定する。交渉の末の四半期末の決定段階でフォーミュラが変わることもあり得る。そのため後になって補助金相当額が織り込まれているとみなされる指標に基づいて販売価格を設定したというエビデンスを示せなくなる恐れもある。そのため毎月末に補助金額を清算する場合、実際の運用レベルでは買い手に対し補助金相当額を全額渡さざるを得ないケースもありそうだ。