廃食油動向=海外高で輸出拡大、国内発電は採算悪化で稼働低下
飲食店やコンビニなどから出る廃食油(UCO)の燃料としての輸出が拡大している。燃料価格の高騰に伴いUCOも海外で割高に取引されるためだ。そのあおりで国内UCO価格も上昇しており、再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)を前提としたUCO発電の採算が悪化、稼働率の低下を引き起こしている。
全国油脂事業協同組合連合会(全油連)が公表したUCOの需給関連資料によると、21年度に国内で発生したUCOの海外向け燃料利用が約12万トンと前年度から約3万トン増えた。消費量全体の32%と前年度の24%から8ポイント拡大した。脱炭素化が加速する欧州(EU)でバイオ燃料としての需要が急速に高まっており、輸出が伸びているという。
一方、国内向け燃料利用は約1万トンとほぼ横ばいだった。バイオディーゼルや持続可能航空燃料(SAF)の原料としての需要が高まっているものの、海外に流出してしまい国内向けの供給が増やせない実態が浮き彫りとなった。
市場関係者によると、商社が海外向けに高値で買い集めているようだ。このところのパーム油価格の高騰に連動する形で、海外向けのUCO価格が上昇。ドル高円安の進行もあり、足元では高値圏でトンあたり130,000円台と、ここ1年で2倍以上に値上がりしたという。
日本のFIT制度では、UCOで発電した場合の燃料調達価格は高くともトンあたり60,000円台でないと採算が合わないとされる。FIT制度では燃料価格の高騰を売電価格に転嫁できないため、UCOを輸出価格並みで購入した場合、逆ざやだ。採算の急速な悪化でUCO発電所の稼働率を落とさざるを得ない発電事業者も出ている。