日本製鉄=大型高炉実機を用いた高炉水素還元の実証試験開始を決定
日本製鉄は東日本製鉄所君津地区の第2高炉で、製鉄所内で発生する水素を活用した「水素系ガス吹込み技術」の実証試験を開始する。2026年1月からの実証試験開始に向け、設備導入に着手する。4,500立方メートルの大型高炉実機を用いる試験は世界初という。
同社は2021年3月に公表した「日本製鉄カーボンニュートラルビジョン2050」で、「高炉水素還元」「大型電炉での高級鋼製造」「水素による還元鉄製造」の3つの最新技術を用い、カーボンニュートラルを目指すことを表明。3つの技術の組み合わせの比率は決定していない。電炉などはスクラップ原料の世界的な奪い合いにより供給リスクがあるほか、ピュア鉄も新興国の需要が伸び、安定供給に不安があるという。このため水素還元鉄製造技術やCCS技術の開発にも力を入れる。
「高炉水素還元」は、高炉内の温度制御・還元反応制御が求められる。日鉄は2008年以降、君津地区構内の試験炉(12立方メートル)でこの技術の開発を進めており、一定の成果を得ているという。このため、今回は試験炉の約400倍の規模となる稼働中の大型高炉を用いた実証試験を行うと決めた。
このほか試験炉では、外部から持ち込む水素も用いてCO2を削減するSuperCOURSE50技術も開発している。2050年度までにこの技術を確立、CO2排出量の50%削減を目指す。
今回の実証試験は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金に採択され、日鉄のほか、JFEスチール、神戸製鋼所、一般財団法人金属系材料研究開発センターの4社でコンソーシアムを結成し、取り組みを進めていく。