LPG=アストモスエネルギー、出光徳山に入出荷集約へ
液化石油ガス(LPG)元売りのアストモスエネルギーは12日、出光興産の徳山事業所大浦地区(出光大浦)におけるLPGの輸入および陸上、海上出荷を近く終了すると発表した。輸入玉の受け入れは順次停止し、陸上出荷は3月30日、海上出荷は3月31日に終える予定。陸上出荷は同じ周南コンビナートで二次基地として使用されている、出光興産の徳山事業所西地区(出光徳山)に集約する計画だ。
出光大浦では以前から基地設備の老朽化や、サプライチェーンの維持コスト増加が課題となっていた。アストモスは今回、周辺地域の需給動向を踏まえると、LPGの入出荷を出光徳山に集約できると判断して、出光大浦の利用停止に至った。出光徳山には今後、九州液化瓦斯福島基地や四国の波方基地、全農エネルギーが運営する坂出基地から輸入玉が転送される見通し。また、アストモスによると、出光徳山は既存の設備能力でLPGの陸上出荷に対応できるため、設備の増強などは必要ないという。
LPGは少子化や脱炭素化に伴って構造的な需要減が見込まれる一方、人件費や資材費の高騰で設備の維持管理コストが増えている。そのため、大規模な輸入設備の運用と安定供給の両立は、出光大浦以外のLPG基地も直面している課題だ。アストモスは2023年6月にもジクシスと共同で、碧南LPG基地の利用終了と出光興産の愛知事業所(出光愛知)の共同利用を発表した。アストモスは「現時点で次の具体的な基地集約化の計画はない」としているが、輸入基地や二次基地が集まる京浜地区をはじめ、LPG基地の集約化は他の地区でも進むとみられている。
一方、出光興産は周南コンビナートにおいて、年間100万トン超に及ぶカーボンフリーアンモニアの供給体制を2030年までに確立しようと、インフラの整備を検討している。同社は出光大浦のLPGタンクをアンモニアの貯蔵タンクとして転用することも視野に入れているとされ、「出光大浦はいずれアンモニアの受け入れ拠点として生まれ変わる可能性がある」(市場関係者)。