新春特集=2025年は本来の国内相場に戻れるか、補助金減額と「その後」
政府は24年11月22日発表した総合経済対策で補助金の段階的な減額方針を示した。12月19日、さらに1月16日に5円ずつ減額し、足元のレギュラーガソリン小売価格を175円程度から185円まで引き上げる。185円を超えた場合は現状どおり全額補助される仕組みだ。政府はベース価格の引き上げ、小売価格を185円前後でひとまず落ち着かせたい考えだ。 問題はその後だ。1月16日以降の明確な出口戦略は発表されていない。経産省が24年11月に発表した「燃料油価格激変緩和対策事業について」の資料には、「状況を丁寧に見定めながら、段階的に(月の価格変動が5円程度となるよう、原則月3分の1ずつ)見直すと記載されている。185円を上回る価格への補助率を段階的に見直す方針だが、具体的な時期など現時点で不明だ。 また、注目されたトリガー条項案は自動車関連税制の改定の中に組み込まれ、政府は12月2日、26年度税制改定案に織り込む形で1年先送りした。政府案に沿えば25年4月の新年度入りを機とするトリガー条項案の採用はないようだ。 注目材料は米国のトランプ次期大統領の政策だろう。これまでのEV政策見直しと化石燃料に復権を掲げている。ただ、内容は大統領就任後の動きを見極めるしかない。11月に経産省が発表した緩い出口戦略は米国動向、さらに原油価格の不透明感を織り込んでいるとみられ、決め手に欠けたと見て取れる。トランプ氏の就任で原油安、ドル高が進めば補助金は自然と縮小、ないしはゼロになる日もそう遠くないかもしれないが、うまくいかないのがマーケットだ。 国内市況は24年12月、補助金の減額で久しぶりに大きな値動きとなり、卸業者や小売業は仕切り方針の違いや相場観の違いが顕著となった。本来の市況に幾分か戻った感もある。石油業界では、この数年の補助金導入に対し、小売や卸価格の安定化、需要家向け価格の安定化など、メリットが多いと評価する声も聞こえている。一方で原油相場との乖離、補助金の増減を利用した販売方針、先物取引の衰退、価格交渉の減少など、「本来の相場」とはかけ離れた部分も露わとなった。25年は「本来の相場」に戻れるか試される年となるだろう。 |