新春特集=一般炭価格、2025年は下落基調の見方
2024年の発電用石炭(一般炭)の豪ニューキャッスル積み価格は130ドル台半ばで始まった。2月にかけて下落基調となったものの、その後は反転。上げ下げを繰り返しながらも、年後半にむけておおむね右肩上がりに推移し、150ドルを超える局面もあった。脱炭素の機運が世界的に高まっているものの、中国、インド、東南アジア諸国では石炭需要が増加しており、市況を支えた。日本国内でも夏場から秋口にかけての気温が平年より高めに推移し、電力需要は堅調。一般炭輸入量が前年を上回る月が目についた。 ただ、2025年の発電用一般炭価格について市場では、24年に比べてわずかに下落するとの見方が聞かれる。最大消費国である中国で石炭需要が後退する可能性があるためだ。同国では景気後退が長引き、電力需要の伸び悩みが指摘される。一方、太陽光など再生可能エネルギーの普及が急速に進む。このほか、環境問題に先進的に取り組んでいる欧州でこの数年、石炭離れが顕著になっていることも弱材料になりそうだ。 24年11月にアゼルバイジャンで開いた第29回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP29)では、欧州連合(EU)と25カ国が、石炭火力の新設に反対する声明を発表した。このなかには、主要7カ国(G7)のうち米国と日本を除く5カ国も含まれた。また、石炭火力発電継続のカギとされる炭素回収・貯留(CCS)技術についても、十分な削減効果がないとの批判があった。 一方、強材料として働きそうなのが、1月にトランプ氏が米国大統領に就任することだ。化石燃料の使用に積極的な姿勢を見せているだけに、ここ数年、横ばい圏内で推移してきた石炭使用が、大きく増加するとの観測も聞かれる。また、経済成長を続けるインドの需要増が市況をけん引するとの指摘もある。 日本では、第7次エネルギー基本計画に注目が集まる。第6次まで石炭火力は主力電源として位置付けられてきた。現時点では依然として電源構成の3割程度を占めているものの、近年は再生可能エネルギーの普及、原子力発電所の再開などもあり、石炭火力への依存低減を打ち出す可能性もありそうだ。 |