大阪ガス=合成メタンの試験施設が完成
大阪ガスは3日、SOEC*メタネーション開発を進めるなか、ベンチスケール試験施設が完成し、竣工式を行った。SOECメタネーションは、SOEC電解装置において再エネ等を用いて水やCO2を電気分解し、生成した水素や一酸化炭素からメタン合成反応装置において触媒反応を用いてe-メタンを合成する技術だ。原料として外部水素の調達が不要で水とCO2から一気通貫でe-メタンを製造することができる。また、約700~800℃の高温で電気分解することにより必要な再エネ電力等を削減できる。さらにメタン合成時の排熱を有効活用できるため、従来のサバティエ反応メタネーション(約55~60%)を大幅に上回る約85~90%というエネルギー変換効率を実現できる可能性がある。これにより、再エネ電力が大きな割合を占めるe-メタン製造コストの大幅な低減が期待できる。
本施設で実施するベンチスケール(同約200戸相当)試験では、まずSOEC水蒸気電解装置**と大阪ガス開発の触媒を充填したメタン合成装置を組み合わせ、装置の性能確認やプロセス全体の運転データ取得を行い、高エネルギー変換効率を達成するための検証を進める。その後、さらなる高効率化に向けて開発を進めるSOEC共電解装置***を新たに設置し試験を行う。
2028~2030年度にはパイロットスケール試験を進め、2030年度に世界最高レベルのエネルギー変換効率(約85~90%)を実現するe-メタン製造技術の確立を目指す。将来的には、2031年度以降の実証フェーズを経て2030年代後半から2040年頃の実用化を目指すという。
*:Solid Oxide Electrolysis Cell の略、固体酸化物を用いた電気分解素子。水蒸気やCO2を高温で電気分解するもの。
**:水蒸気を電気分解し、水素を生成する高温電解装置。再委託先である東芝エネルギーシステムズにて製造。
***:水蒸気と共にCO2を電気分解し、水素とCOを生成する高温電解装置。