【バイオマス】
日本の大型バイオマス発電所が燃料として使用する輸入材、木質ペレットとパーム椰子殻(PKS)はいずれも、この冬にかけて供給が引き締まりそうだ。
木質ペレットでは今年度、日本での新規発電所の立ち上がりとともに、サプライヤーの多くがターム契約分の供給を開始した。ターム供給で需給がバランスし、スポット販売余力の無いサプライヤーが散見されるほか、原木等の木質ペレットの原料の獲得競争も激化していることから、スポット市場における売唱えは高止まりしている。さらに、日本では木質ペレットを燃料として使用するバイオマス発電所が年末にかけて複数立ち上がる予定。これらの発電所による試運転や商業運転の開始でペレット需要は一段と増えると見込まれることから、需給逼迫は続くとの指摘が多い。
PKSは、インドネシア、マレーシアとも10月ころには乾季が明け、アブラヤシの収穫が減る雨季に突入することから、供給が減少すると予想される。ただ、ターム供給契約の打ち切りで余剰玉を抱える日本の商社がスポット市場で転売に動いており、足元では売りものが多い状況だ。冬場にかけてもなお、これら余剰玉がスポット市場に残るかどうかが焦点となっている。
【エタノール】
ブラジル産エタノール価格は足元1キロリットル(kl)あたり545ドル前後(期近積み、無水物)で推移するが、冬場にかけて需給の引き締まりから、価格も強基調になりそうだ。ブラジル農牧供給省(MAPA)によると、同国のエタノールの在庫は6月末時点で279万キロリットルと前年同期を4割近く下回っている。原料のサトウキビは収穫シーズンたけなわだが、例年と比べてエタノールよりも砂糖への振り分け比率が高いうえ、サトウキビからの糖分の歩留まりも悪く、エタノール在庫の積み上げペースが鈍い。
一方、現地では8月からエタノール混合30%(E30)の導入が始まる。これに伴いガソリン混合用の無水エタノールの需要が高まる半面、E100用の含水エタノールの需要が落ち込むとみられ、全体的に影響は限定的になりそうだ。
米国産エタノールは現在1klあたり490ドル前後で推移するが、この秋収穫される米国のトウモロコシの供給に支障はなさそうだ。ただ、価格の面で影響しそうなのが、エタノールに付与される環境価値で、再生可能識別番号(RIN)の動向だ。米環境保護庁(EPA)はバイオ燃料業者に課すバイオディーゼルのRINの義務量を2026年から大幅に引き上げたことで、RINの需給が引き締まっている。米国産エタノールにはRINが付着して取引されるだけに、RIN主導でエタノール価格が押し上げられる可能性もある。
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